長年、広島の被爆者の治療に当たり、内部被曝の脅威を訴え続けてきた医師・肥田舜太郎の闘いを、2011年の原発事故を踏まえて追ったドキュメンタリー。監督は「核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝」も手掛けたマルク・プティジャン。撮影当時96歳にして反核運動に情熱を注ぐ肥田の姿を通じて、福島第一原発事故の被害と内部被爆の危険性が明らかになる。
ストーリー
肥田舜太郎医師は、誰からも親しみと尊敬を込めて“肥田先生”と呼ばれている。肥田先生は、原爆投下の1945年8月6日以来、軍医として広島で被爆者の治療に当たった。その中で、当日、広島に不在で原爆を直接受けなかった人々が後になって突然発病し、被爆者と同じ症状で亡くなってゆく例を多数目にすることとなった。それが内部被曝によるものであることを突き止めた肥田先生は、それまで知られなかった内部被曝の脅威を世界に向けて訴え続けてきた。内部被曝の危険性は、核所有国の政府当局者たちによって隠蔽されてきた。さらに肥田先生は、2011年3月に発生した福島第一原発事故の被災者が暮らすいわき市を訪れる。戦後65年に渡って広島、長崎の生存者を診療し続けてきた肥田先生は、最後の力を振り絞って、歴史から何も学ばず、愚かな選択を続けてきた体制に警鐘を鳴らし続ける。そして、日本に原爆を投下した米軍や、日本に民間用原子力産業を導入したアメリカに対して、はっきり“ノー”と言う。願ってやまない平和で核のない新しい日本の到来に向けて……。
スタッフ
監督、製作、撮影、編集
マーク・プティジャン
日本語ナレーション
水津聡
製作
ドミニク・ベロワール
音楽
リーズ・ノラ
音声
百々保之
プロデューサー、日本語字幕
山本顕一
翻訳
岩貞佐和
通訳
人見有羽子
挿入動画