「聾者の音楽」を視覚的に表現したアート・ドキュメンタリー映画。聾者を通して「音楽とは?」という問いに迫る。共に聾である新鋭・牧原依里とアニエス・ベー監督作「わたしの名前は...」にも出演した舞踏家・雫境(DAKEI)が共同監督を務め、全身の身体表現により音楽を創作する人々を映し出す
ストーリー
耳の聞こえない聾者たちが、楽器や音声を介さず、自身の手、指、顔の表情から全身に至るまで、その肉体を駆使しながら視覚的に音楽空間を創り出していく。国内外で活躍する舞踏家から、演技経験のない一般の聾者まで集まる出演者たちは、各々に「音楽が視える」と言い、「魂から溢れ出る“気”のようなもの」から音楽を感じると語る。複数の手話詩を交えながら四季を表現する初老の男性、木々のざわめきの中で風を歌う少女、波打つ浜辺で魂を叫ぶ女性、親密な愛情を共鳴させる夫婦など、手話言語を通じて日常的に熟達した彼らの身体表現は、音楽に対する問いのさらに奥深く、人の内面に存在する内なる“何か”へと迫っていく。