クラーク・ゲーブル
Jim
「愛国者パーネル」「妻と女秘書」「男の世界」等に顔を合わせたクラーク・ゲーブルとマーナ・ローイに「我は海の子」「戦友」「激怒(1936)」のスペンサー・トレイシーが付き合って主演する映画で、「椿姫(1937)」「我は海の子」のライオネル・バリモアが共演する。原作は「空の軍隊」「無限の青空」のフランク・ウィード少佐が執筆し、「春を手さぐる」「永遠に愛せよ」のビンセント・ローレンスと「真珠の首飾」「永遠に愛せよ」の故ウォルデマー・ヤングが協力脚色し、「我は海の子」「運河のそよ風」のビクター・フレミングが監督に当たり、「踊るアメリカ艦隊」「妻と女秘書」のレイ・ジューンが撮影したものである。なお助演者は「米国の機密室」のサミュエル・S・ハインズを始め、マージョリー・メイン、グローリア・ホールデン、ルイス・ジーン・ハイトその他である。
ドレーク航空会社の名パイロットとして知られたジムは、新鋭機の試験飛行にニューヨーク・サンフランシスコ間の大陸横断を試みているとき、カンサス州の上空で機関に故障を生じたので麦畑のなかに不時着した。機の修繕におおわらわになっていると、付近の農家の娘アンが心配して駆けつけてきた。ジムは都会ではこんな清純な娘を見たことがなかった。彼は農場で機関士のガナーに電話をかけると、アンと一緒に近くを遊び回った。夜になってガナーが着いた。ジムを兄のように敬っている彼もすぐアンと仲良くなった。アンには婚約者ジョーがいたけれど、彼女もその日のうちにジムを忘れがたく思うようになった。翌朝ジムの飛行機は西の空へ飛び去ったが、まもなく引き返してきた。そしてその日の午後、アンとジムはある町に着陸して結婚した。しかしジムは試験飛行の途中で勝手なことをしたので会社をクビになった。彼は生活費を得るために飛行競技に参行し、速力はあるが危険な機を操縦して見事賞金1万ドルを得たが彼と共に出場した親友のベンソンは不幸にも惨死した。ジムは賞金の半分を彼の未亡人に与えると、自分は苦痛を忘れるために数日にわたって痛飲しアンを省りみなかった。アンは離婚さえ思い立ったが、自分にも告げず夫が5000ドルを友人の未亡人に贈ったことを知るとジムに離れがたい愛着を感ずるのだった。ドレーク社長は彼の才能を買って再び試験飛行士に雇い入れた。ロス将軍はその昔ジムの素行を理由にクビにした人であるが、いつかは再び彼を軍隊へ迎えるつもりでいた。その後もジムには危ない仕事が続いた。そのたびにアンは命の縮まる思いをしたが、夫には何事も心配させなかった。こういう時、いつも力をつけてくれるのはガナーだった。やがてジムは重爆撃機のテストを命ぜられ、ガナーと同乗して3万フィートの高度をめざして飛翔した。目的を達した瞬間、突如機は故障を起こして急降下を始め爆弾代わりに積んだ砂嚢が破れてガナーが危険に瀕した。彼を救おうとするジムの必死の操縦にも及ばず、機は地上に激突して大破した。ようやく機体から抜け出したジムは人事不省のガナーを救い出したが、まもなく彼はジムの腕に抱かれたまま絶命した。ジムは心に大きな衝動を受けたが、尚も職務に奮い立つ彼を、ドレーク社長はロス将軍と相談して陸軍航空隊の教官に転任せしめた。そしてその後ジム夫妻は可愛い子供を儲けて幸福な生活を送った。
Jim
Ann
Gunner
Drake
General_Ross
Landlady
Joe
Mrs._Benson
Benson
Sarah
Mabel
Mrs._Barton
Mr._Barton
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