監督、脚本、ナレーション、撮影、編集
2011年に東日本大震災で被災した故郷の記録「槌音」を発表した映画作家・大久保愉伊が、復興と共に変わりゆく故郷・岩手県大槌町の風景を記録したドキュメンタリー。監督自身のナレーションで、震災後に生まれた姪に向けて震災前後の風景を語り伝える。「ハッピーアワー」の脚本を手掛けた高橋知由が構成を担当している。
ストーリー
東日本大震災に伴う津波で大きな被害を受けた岩手県大槌町。かつて町があった場所はかさ上げ工事のため、土に埋もれようとしている。この町で生まれ育った映画作家・大久保愉伊は、震災後に生まれた姪に向け、彼女が大人になる頃には見られなくなる風景を、映画で伝えようとする。震災前の町並、震災直後の変わり果てた町の光景、草花が住宅の基礎を覆う夏の景色、町の跡を練り歩く祭り……。現れては消えていった風景の映像に重ねて、震災後に生まれ、やがて大人になる姪に向けて、町の記憶やメッセージが監督自身の声で語られる。“2041年あなたの目の前には、どのような町並みが広がっているのだろう? そこではどんな景色が見え、どのような音が聞こえるのだろう?”インタビューもなければ、登場人物もいない。ある日突然消えていった風景から、これから生まれる風景を想像させる映像詩。