マシュー・バーニー
銅板彫刻師
「拘束のドローイング9」などで知られる米国のアーティスト、マシュー・バーニーが少年時代を過ごしたアイダホ州の雪山を舞台に作り上げた。セリフを一切排し、ダンスや身体を使い、ギリシャ神話『ディアナとアクタイオン』を下敷きにした物語を表現する。ライフル射撃米国代表選手のアネット・ワクターや振付師・ダンサーのエレノア・バウアーといった多彩な顔ぶれに加え、マシュー・バーニー自身も出演。
雪に覆われたアイダホ州の山中を舞台に、ギリシャ神話「ディアナとアクタイオン」を下敷きにした物語が繰り広げられる。狩猟の女神で貞節の女神でもあるディアナが森の中で水浴していると、猟師アクタイオンが迷い込んで来る。恥ずかしさのため顔を赤らめる女神。その裸体を、彼女に仕える妖精が隠そうとするが、アクタイオンはその裸を目撃。すると、頭から角が生え、アクタイオンは鹿の姿に変貌してしまう。鹿狩りの名手として猟犬に鹿を追わせてきたアクタイオンだったが、今度は自分が鹿として猟犬に追われる立場に……。マシュー・バーニー自身が演じる銅板彫刻師による銅板エッチングの模様を交え、せりふを一切排したダンスや身体を使ったコミュニケーションにより、全編が進行する。
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