監督、撮影、編集、プロデューサー
一組の父と子にスポットを当て、中国で生活し、韓国に出稼ぎに出る朝鮮民族の実態に迫ったドキュメンタリー。中国の延吉市で生まれ、日本で育った朝鮮民族のソンウは、20歳の頃、生き別れた父を探すことを決意。父が韓国にいることを突き止めるが……。監督の角田龍一は、本作でカナザワ映画祭2019“期待の新人監督”グランプリを受賞した。
ストーリー
中国の延辺朝鮮民族自治州・延吉市で生まれたソンウは10歳のとき、日本に移住する。20歳を迎えた頃、自分の過去を振り返るため、画家だった父を探すことを決意。故郷・延吉を訪れ、叔父や祖父母に父の行方を尋ねる。しかし、誰も連絡先を知らない上、父の話題に対してあまりいい顔をしない。叔父の助けを借り、父が韓国にいることを突き止めたソンウは、18年ぶりに韓国で再会を果たす。だが、その父親は、不法滞在の日雇い労働者として生計を立て、借金取りに追われる日々を送っていた。そんな状況の中でも、虚栄心と自己満足的な愛情を“お金”という形で表現しようとする父に辟易するソンウ。そこで、ファインダー越しの被写体として“父”を冷徹に見つめることで、現実を物語(=映画)に置き換え、父と向き合おうとする。帰国の日、父に自分の似顔絵を描いてほしいと頼むソンウ。一度は描き始めたものの、父が途中で諦めてしまったことから、親子は言い争いに。父が破り捨てたその紙片をかき集め、日本に持ち帰ったソンウは、一枚ずつ貼り合わせ、継ぎ接ぎの絵を額縁に入れて眺める。ところが、息子にも父にも見えるその絵から、切っても切れない朝鮮人の親子としての血縁に気づいた彼は、その絵を燃やし、再び父に会いに行くことに……。
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作品データ
[c]Ryuichi
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