東京都東村山市にあるハンセン病患者の収容施設、国立療養所・多磨全生園に、国の政策によって強制的に入所させられた元患者たちの姿を9年に渡って追ったドキュメンタリー。元患者たちの口から、そこで行われてきた非人道的な行為の実態が明かされる。監督は「曙光」「シロナガスクジラに捧げるバレエ」の坂口香津美。
ストーリー
東京都東村山市にあるハンセン病患者の収容施設、国立療養所・多磨全生園。この施設は、入所者が植えた森の中にある。ハンセン病患者を祀った納骨堂には、連日、花を手向ける人の姿が絶えない。ある朝、元ハンセン病患者の中村賢一さんは、足の不自由な高齢の女性を車椅子に載せて納骨堂を訪れる。若い日、院内で強制的に堕胎手術をさせられた経験を持つ彼女は、今も“強制堕胎手術は、今なら殺人ですよ”と怒りと悲しみに体を震わせる。中村さんは入所した当初から、元ハンセン病患者の山内定さん・きみ江さん夫妻と、半世紀以上に渡って親交を重ねて来た。老境に入った3人は、かつてこの収容所内で行われていた凄惨かつ呪しき事実について、共に“その実態を自ら明らかにせずには死ねない”という強い思いを抱いていた。きみ江さんは22歳で入所して10ヶ月後、同じハンセン病患者の定さんと知り合い、結婚した。だが、院内での結婚には、夫となる男性が断種手術を受けることが条件となっていた。半世紀を経て、定さんの口から初めて語られる結婚直後の断種手術当日の模様。告白の日から半年後、定さんは永眠する。ハンセン病に罹患したことで、自らに与えられた人生の意味とは?使命とは?それを探すため、より強く生きるため、きみ江さんの新たな挑戦が始まった……。
スタッフ
監督、撮影、編集
坂口香津美
音楽監督、選曲、MA
山下博文
編集、プロデューサー
落合篤子
ウェブサイト制作
丹羽理
宣伝ビジュアルデザイン
阿津侑三
カラーコレクション
落合賢治
本編日本語題字
極上玄圃
英語字幕
中張有紀子
ハンセン病監修
斉藤くるみ
コラム・インタビュー・イベント
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作品データ
[c]キネマ旬報社