ウォーレン・ベイティ
Frady
進歩派のアメリカ大統領候補の奇怪な暗殺の謎を追う新聞記者の行動を通して現代アメリカの病根をえぐる。製作総指揮はガブリエル・カッカ、製作・監督は「コールガール」のアラン・J・パクラ、脚本はデイヴィッド・ガイラーとロレンゾ・センプル・ジュニア、原作はローレン・シンガー、撮影はゴードン・ウィリス、音楽はマイケル・スモールが各々担当、出演はウォーレン・ベイティ、ポーラ・プレンティス、ウィリアム・ダニエルス、ウォルター・マギン、ヒューム・クローニンなど。
シアトルの万博会場跡にそびえる宇宙塔の展望ルームで、次期大統領候補と目されるキャロル上院議員が兇弾に倒れた。この事件の調査委員会は狂信的愛国者の単独犯行であると発表し、そのまま事件は忘れさられた。3年後、ロサンゼルスの地方紙の新聞記者ジョー・フラディ(ウォーレン・ベイティ)の下宿に女性ジャーナリストで恋人でもあったリー・カーター(ポーラ・プレンティス)が訪問した。彼女は、キャロル上院議員が暗殺されたときすぐそばにいた20人近い人間の一人だったが、3年間にそのうちの6人が不慮の事故で死亡し、やがて自分も殺されると、ひどく怯えていた。ジョーはその話を一笑に付したが、数日後、リーは死体となって発見された。死因は睡眠薬の飲みすぎだという。この事件に疑惑を抱いたジョーは、やはり殺人現場にいた判事が魚釣りに出かけた谷川で事故死したことを知り、その小さな町を訪ねた。保安官はジョーをその事故現場に案内すると、いきなり水門を開け、彼を溺死させようとするが、烈しい格闘の末、ジョーだけが助かった。彼はその足で保安官の家に忍び込み、彼の机の引き出しから“パララックス・コーポレーション”という会社の就職願書と適性テスト用紙を発見した。社に帰ったジョーは編集長のリンテルズ(ヒューム・クローム)から叱言を言われるだけで、信じてはもらえなかった。ジョーは例の願書を大学の心理学研究所に持ち込んでテストしてもらったところ、それが巧妙に反社会的な性格をもつ人間を選びだすことを目的としたものと判明した。彼は今度はキャロル上院議員の選挙参謀だったオースチン・タッカー(ウィリアム・ダニエル)の行方をさぐる。事件以降、姿を消していたタッカーはやっとジョーに会うことに同意したが、二人の乗ったヨットが爆発し、死亡した。奇蹟的に助かったジョーの姿を見て今度はリンテルズも信じないわけにはいかなかった。ジョーは最後の手段としてパララックス社に潜入する決意をかためた。やっとのことで入社を認められたジョーは、そこでキャロル上院議員の暗殺現場に給仕として雇われていた男を目撃した。黒いカバンをもった男の行先は飛行場だった。男はカバンを国内線のカウンターにあずけた。だがジョーが離陸直前にその飛行場に乗り込んだが、男の姿はなく、その代わりに一等客室に政界の大立者といわれる議員が乗っていた。時限爆弾による暗殺だと直感したジョーは、飛行機をロス空港に引き返すよう要請した。乗客が機外に脱出すると同時に飛行機が爆発した。前後してジョーの活動を知っているリンテルズも暗殺者に毒殺される。ジョーはパララックスが次の暗殺犠牲者としてじき大統領候補であるハモンド上院議員をマークしていることを知るとその選挙演説が行われる会場にもぐり込んだ。リハーサルが終わると、ハモンド目がけて銃声が響いたが、ジョーは屋根裏にとじこめられていた。四方八方からじりじりと彼を追いつめる暗殺者たち。やがてその屋根裏に銃声が響きわたった。数カ月後、政府の調査委員会は事件の報告を行った。「ハモンド上院議員の暗殺は、精神錯乱をきたしたジョー・フラディの単独犯行である…」。
監督、製作
脚本
脚本
原作
製作総指揮
撮影
音楽
[c]キネマ旬報社