エディ・キャンター
Eddic
「猿飛カンター」に続いて製作されたエディ・キャンター氏主演喜劇で、キャンター氏自ら書き卸した原作をジョン・グッドリッチ氏が脚色し、デブとして知られたロスコー・アーヴァックル氏がウィリアム・グッドリッチ氏と改名して監督となっての処女作品として監督した。カンター氏の相手役は「ロイドの福の神」「ロイドの人気者」「錯覚恋愛」「ニウ・ヨーク」等出演のウィリアム・パウエル氏で、「肉体の道」「弥次喜多海軍の巻」出演のドナルド・キース氏、ユニヴァーサル社のスターたりしジャック・ドハーテイー氏、ヴイクター・ボーテル氏、メアリー・カー夫人が助演している。
郵便局事務員としては全く不適任だったエデイーは郵便配達夫として忠実だった。そして何よりも彼はその仕事に幸福を感じた。何故ならそれはエデイーに彼が憧れの乙女たるダッチ・ランチの女給仕マッジに遭える機会を度々与えたから。新調の制服を来て郵便到着を知らせる笛をビーツとランチ・ルームの入り口で吹く時のエデイーの得意さは、受け持ちの巡査のフラニガン、消防夫ハリガンという恋仇に邪魔されても何のそのだった。この長閑な恋愛ボクシングの中に、ハロルド・ジョーンズというイカサマ師が飛び込んで切りにマッジに秘書役になってくれと口説いた。これに対して3人の恋仇連中は、お互いの鞘当として、同盟してマッジを擁護することに努めた。郵便配達夫連中主催の舞踏会が近く催されることになり、マッジを同伴する役目はエデイーに決まった。ニップとタックという郵便監視人志願の素人探偵は採用試験を受けることになり、人もあらうにエデイーを監視し始めた。一方マッジは主人の執拗な口説きに業を煮やして辞職しイカサマ師の秘書役となった。例の三恋士は会食に行ってマッジがいないので落胆したが、エデイーはハロルドの事務室までマッジを訪ねた。そしてハロルドに騙され虎の子の貯金100ドルで株券を買った。舞踏会の夜エデイーがマッジを迎えに行くと彼女は南米へ新婚旅行をするという口車に乗せられハロルドに婚約し、舞踏会にも出掛けた後だった。踊れないエデイーがぼんやりブラック・ポトム・ダンス競争を見ているとバルコニーから氷の小片が首に中へ落ち込んだ。それを落とそうとして珍妙なダンスを期せずしてエデイーは始め、一等賞のカップを貰った。それを怒ってマッジは帰るというので送り届け、その処で彼は彼女がハロルド・ジョーンズと婚約したと聞いて悲観した。翌日彼は代金引き換え小包をジョーンズ夫人に配達して彼女がハロルドの妻であることまた彼が買った株券は偽物であることを知り、その日乗船する筈のイカサマ師を捕らえに急いだ。イカサマ師は郵便監視人に捕らえられたがマッジは既に乗船していたので、エデイーは出発せんとする船に飛び乗り、マッジを擁してフラニガンとハリガンにハンカチを振った。
Eddic
Madge
Harold_Jones
Harrigan
Flannigan
Nip
Tuck
The_Mother
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