ジェスマーク・シクルーナ
ジェスマーク
地中海の島国マルタで先祖代々受け継いできた色鮮やかな木製の伝統漁船「ルッツ」に乗る漁師にスポットを当て、漁獲量の減少や市場格差に起因する経済的困窮のために苦悩し、いかに生きるべきか葛藤する姿を描いた社会派ヒューマンドラマ。プロの俳優を一切起用せず、シチリア島の漁師たちを出演させたルキノ・ヴィスコンティの「揺れる大地」(1948年)にオマージュを捧げ、アレックス・カミレーリ監督が実際に「ルッツ」の漁師として働くジェスマーク・シクルーナを主演にして本作を製作した。そこでは、近年の地球温暖化や、EUの漁業ルール、大型トロール船、そして絶対的な権力をもつ仲買人の存在など、さまざまな現実の問題が横たわる。それらは、SDGs(持続可能な開発目標)が声高に叫ばれる現在、地球上に暮らす人々にとって無視できない状況だ。自分の誇れる仕事で生活費を稼ぎ、家族と一緒に幸せに暮らしたい。ただ、それだけの小さな望みが果てしない夢のようにも思えるジェスマークは最後にどんな行動をとるのか。誰しもが経験する人生の岐路と選択の物語。
地中海の島国マルタ。26 歳のジェスマークは「ルッツ」という美しい船に乗っている。色鮮やかなその木造船は、この地の漁師が先祖から受け継ぎ、それぞれの家族が大切に守ってきた伝統の船。ジェスマークも曾祖父の代から修理を繰り返して「ルッツ」で漁に出てきた。ある日、ジェスマークは漁に出るが、魚があまり捕れず、ルッツの船底に水漏れを見つける。修理をしなければ、大事な商売道具が使えなくなってしまうが、修理には金がかかる。不漁が続き、思うように収入を得ることができないなか、生まれて間もない息子の発育不良がわかり、治療にも費用がかかることになってしまう。動揺して裕福な実家を頼ろうとする妻デニスと、夫婦二人で乗り越えたいジェスマーク。夫婦の間には徐々に不協和音が生じ始める。親友のデイヴィッドの手伝いもあり、ルッツの水漏れを直すことはできた。しかし、漁師である以上、安定した収入を常に得ることができないことを痛感したジェスマークは、漁師としてやってはならないことに手を染めてしまう。ルッツの漁師という職業に誇りをもって生きてきたジェスマークだったが、妻と息子を養っていくためには金を稼がなければならない。このままルッツで漁を続けるのか、安定した収入を得るために別の仕事に就くべきなのか。人生の選択を迫られることになる。
監督、脚本、編集、プロデューサー
撮影監督
音楽
プロダクション・デザイナー
衣装デザイン
助監督
プロデューサー
プロデューサー
プロデューサー
キャスティング
作曲
整音
日本語字幕
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