コリーン・ムーア
Sarah_Juke
コスモポリタンの作品で、『ユーモレスク』等の原著者ファニー・ハーストの原作を、同じくフランセス・マリオンが脚色し、「ユーモレスク(1920)」等を監督したフランク・ボーゼージが監督した。主役には「君を思えば」「愛の栄光」等主演のコリーン・ムーア、「廿一の頃」「良人の危険時代」等出演のジェームズ・モリソンが扮し、その他「血涙に咽ぶ人々」出演のエディ・フィリップスも主要な役を演じる。
マムモス百貨店の美しい女売り子サラー・ジュークは、発送係のハリー・スミスと仲良しであった。楽器部に勤めているジミー・フィツギボンスはサラーに想いをかけていたが、サラーは病弱なハリーと結婚して貧しいながら幸福な家庭を作った。ハリーは貧しい生活に少しでも余裕をつけようと、夜業までして働いたが、病気のために昇進の機会は与えられなかった。ジミーは競馬で大儲けをして、景気良く自動車などを乗り回していたが、それを見るにつけてもサラーは頼りない夫が可哀そうでならないのであった。1年の後2人の間には赤子さえ生れたが、彼女の夫の病気はますます重るばかりであった。雪の降る前に温かい土地へ転地させなければならないと言われたが、貧しい暮らしにそのような余裕のあるはずはなく、思案にあまって彼女は昔の友達で今は女優をして成功しているアンジンのもとへ助力を頼みに行く。アンジンの家でサラーは再びジミーに会ったが、2人からクリスマスの祝宴に招待された時、望む金を得るためには、そうするより他に仕方がないので、彼女は止むなく同意する。そして店には夜業があると夫に偽って、出席したが楽しげな人々の笑顔を見ても、家に淋しく帰りを待つ夫を思っては、彼女は浮き立つ事は出来なかった。ジミーは彼女に金を握らせたが、どうしても帰宅すると彼女が言い張るので、遂に彼女を家に送った。帰ってみると夫は既に眠っていたが椅子に掛けてある濡れた外套は、彼が店へ出て彼女を迎えに行った事を示していた。店に行ったのではなく、慈善協会へ頼みに行ったのであると偽って、ジミーから与えられた金を出した。ハリーは何事も知らず、彼女を胸に抱いて、病める我が身を欺くまでも想ってくれるかと感謝の涙を浮かべるのであった。サラーは人の守る誠はモーゼの残した十戒ばかりでなく、十一戒、十二戒と限りなくある事を今さらひしひしと悟ったのである。
Sarah_Juke
Harry_Smith
Jimmie_Fitzgibbons
Angine_Sprunt
Max_Plute
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