ティンカ・メンケス
Firdaus
女性が直面する孤独や暴力をテーマに扱い、独自の美学を貫き通す孤高の映画監督ニナ・メンケスが、ラスベガスで生きる女性ディーラーの倦怠に満ちた日常を描いた長編映画。1991年にサンダンス映画祭で初上映、92 年にミュンヘン国際映画祭で上映。1980年代初頭から活動を続け、世界の映画祭でますます評価を高めるニナ・メンケスの初期作品がアカデミー・フィルム・アーカイブによって修復され、代表作3本(本作と「マグダレーナ・ヴィラガ」「ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー」)が2024年5月10日、初めて日本で公開される。
ラスベガスで生きる女性ディーラー、フィルダウス(インドネシア語で“楽園”の意)は、昼間は瀕死の老人を介護し、夜はカジノでカードを配る。時には砂漠に浮かぶ湖に友人と出かけたり、恋人に手を上げる隣人に悪態をついたり、行方不明になった夫の消息を探ろうと施設に足を運ぶものの、放たれる言葉や歌声は誰にも届かず、何も変容しないまま一日が過ぎる。眩暈がするほど煌びやかなネオン、無機質なアパートメント、純白のシーツやウェディングドレス、業火に焼き尽くされる大木。永遠に続くかのような反復とそこかしこに横たわる暴力に感覚が麻痺していく。
[c]1991 Nina Menkes ©2024 Arbelos
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