ビル・ボイド
Bill
ホレース・ジャクスン及びジェームズ・グリースン両氏がストーリーを組み立て脚色したものによって「船出の朝」「夜襲」のジョン・S・ロバートソンが監督し、「海の荒鷲(1933)」「赤ちゃん母さん」のノーバート・ブロディンが撮影した映画で、主なる出演者は「脱走兵物語」「非常警戒」のビル・ボイド、「モンテカルロ」のザス・ピッツ、「ハア・マン」のジェームズ・グリースン、ラッセル・グリースン、新進マリオン・シリング、「毒瓦斬」のリシー・アルナ、ルー・コディー、フレッド・スコット、メアリー・カー、ウェード・ボトラー、セオドア・フォン・エルツなどである。
ヨーロッパ大戦中の出来事である。フランスの小村ヴィトリーにある司令部へひとつの報告が届いた。スパーク少佐の率いる第二大隊がネーヴルモン町を奪還したが他の大隊との連絡がつかないために苦しんでいるというのである。司令部がこの報告に答えんとしたおり、突如通信が壮絶し命令は使者によって伝達されねばならなくなる。その使者に立ったのがジムであった。かくてジムがいくたの危険をくぐり抜けてネーヴルモンに達した時、スパーク少佐の第二大隊は4人の決死隊を残し、他の軍隊をあわせて再来すべくこの地を去った後であった。そこでジムはこの決死隊に加わって前進し来るドイツ軍をくい止めるべく全力を尽くさねばならなかった。守りの手薄になったことを知ったドイツ軍は再びネーヴルモンを陥らせそうと必死の力で攻撃する。フレッドが敵の弾丸に倒れた最初の犠牲者だった。ついで若いバッドが胸板を射抜かれる。彼はニュー・イングランドの農村から若者にありがちなヒロイズムに燃えてこの戦線に来たのであるが敵弾にうけた傷が致命的なものだと知るや、彼は急に一時の興奮から故国にただ1人残して来た母を思って深い悔恨に責められる。彼はその事を繰り返しながら遂にビル伍長の腕に抱かれて死ぬ。第三の犠牲者はルウだった。そして日頃美貌を誇っていただけあって彼は生前愛し合った女性の名を呼んで生きを引きとって行った。それはバッドの場合ほど悲惨ではなかったがやはりビル伍長の心を苦楽させた。こうして5人のなか残ったのはビルとジムだけとなった。ビルには家にドイツ人の妻カタリナがあった。それが戦争以来、家庭内の紛憂の種となり夫婦は別れねばならぬハメとなった。これに疑いを持つビルはジムにその煩悶を語る。この間に彼らの潜伏所に近づいたドイツ軍は2人を倒す。ジムが気がつけばすでに敵軍の病院である。彼の隣の病床に横たわるビルは出血多量のため危険状態にある。何人かの血液をかりなければ回復のみこみがない。この時すすんで輸血供給者たることを申し出たのは偶然そこに勤務するカタリナだった。数週間が経過し休戦条約が締結された時、南部フランスの村にジムとビルとカタリナの3人が再び会った。ビルは殺人の結果、自分たちが勇士として祭り上げられていることに不愉快を感じた。がカタリナが心からの喜びをもって迎えてくれる様を見ては自ら微笑ましくなるのであった。
Bill
Fritzie
Lew
Ina
Jim
Katharina
Major_Sparks
Mother
Russell
Fred_Brandon
Commandant
Sergeant
Colonel
Reginald
German_Surgeon
Head_Nurse
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