スージー・ケンドール
Barbara
C・スコット・フォーブスの舞台劇「検針員」(1964年9月ロンドン王立演劇学校が上演)をテレビ出身の新鋭ピーター・コリンソンが脚色・監督したもので、彼の劇場用映画、第1作である。撮影は新人アーサー・レイビス、音楽はジョン・ホークスワースが担当。なお主題歌「さびしい男でいっぱいの世界」はジョン・ホークスワース作曲、ハロルド・シェーバー作詞で、人気女性歌手リサ・シャインが歌っている。出演は「いつも心に太陽を」のスージー・ケンドール、イギリスの中堅スターで「ハムレット(1947)」の、テレンス・モーガン、アイルランドの舞台俳優ノーマン・ロドウェイ、テレビ出身のトニー・ベックリー、「恐竜100万年」のマルチーヌ・ベズウィックなど。
ブルース(テレンス・モーガン)とバーバラ(スージー・ケンドール)は夫婦ではないが深く愛し合っている。ブルースは不動産業。彼の仕事の関係で完成したばかりの、まだ誰も入居していない家具つきのペントハウス式アパートを密会の場所に使っていた。ある朝、ベッドから出ようとした頃、1人の若い男が訪ねてきた。ガスの検針員だというトム(トニー・ベックリー)である。だがバーバラは、ガスのメーターが、どこにあるのかさえ知らなかった。そのうちに外で待っていた相棒と称するディック(ノーマン・ロドウェイ)も室内に入ってきた。不安を感じたバーバラはブルースを起した。案の定、2人の男は正体をあらわした。ニセ検針員であり、ナイフを取り出してブルースを脅し、彼を椅子に、縛りつけた。やがて2人の男はパーティーをやろうといい出し、持参のウィスキーを取り出す。無気味な恐怖が高まっていく。3つのコップにウィスキーを注ぎ、そのうちの、なみなみと注ぎこんだものをバーバラに強引に飲ませる。酔ったバーバラは自制心を失い、2人の男の言うままに陽気なパーティーに加わり出した。激しいダンスが始まり、やがてバーバラはトムを誘って寝室へ。しばらくたって、トムはディックと交替した。ブルースはもがき大声で叫んだが、それ以上は、どうしようもなかった。寝室から出てきたバーバラさえ、2人の男と一緒になってブルースをくさすようにさえなった。すると突然、2人の男は帰っていった。きれいに部屋の後始末さえして。ブルースにとっては恐怖の夢からやっとさめた思いだった。だがバーバラは、椅子に縛りつけられたブルースを、なかなか解こうとせず憎しみの目で彼を見る。なわをといたのは、しばらくたってからである。2人の愛人関係は完全に破かいされたようだ。やがて再びベルの音。恐る恐るドアを開けると、警察の者だというメガネをかけた婦人が入ってきた。彼女は、2人の男が後悔し合って、わびたいと言ってるから、という。バーバラとブルースは再び男たちに会った。部屋に入り、しばし男たちは、おとなしかったが再び正体をあらわした。女をまじえて3人はグルだった。バーバラとブルースを縛りつけ、再び同じパーティを開き、やがて帰っていった。バーバラにとっても、ブルースにとっても、この3人の目的が分からなかった。ただ、分かっているのは、ある朝、突然やって来た、この招かれざる客との接触から、2人の愛人の関係は完全にくずれたということだ。いや、くずれたのではない。こうなる要素は、そのスタートからあった、とも言えるのではないだろうか。
監督、脚色
原作戯曲
製作
撮影
音楽、作曲
歌
作詞
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