監督、製作、撮影、編集
映画監督の村上浩康が手掛ける、介護生活を続ける両親の最後の日々をみつめたドキュメンタリー。
ストーリー
“うちに帰りたい”。末期癌で入退院を繰り返していた父のその言葉をきっかけに、母は家での看取りを決意した。介護ベッドを置き、ヘルパーさんや訪問看護師さんが出入りする自宅で始まった父と母の新しい生活。ベッドから動けない父は、何かと世話を焼く母に“ありがとう”と口にするようになり、母はできる限り父の近くで時間を過ごすようになった。少しずつ食事が摂れなくなり、痩せ細り、目を瞑る時間が増えていく父。そして、持病の悪化で自身の健康にも不安を抱える母。ヘルパーさんたちは毎日、父の元を訪れ、丁寧にケアを行い、時に母の相談相手にもなる。閉じていく命の前で、広がっていく人と人のつながり。生と死のあわいに訪れる、夢のようなひととき。40日余りにわたる両親の最後の日々を見つめたのは、「東京干潟」(19)、「たまねこ、たまびと」(22)などで自然と人間との結びつきを描いてきた映画監督の村上浩康。介護生活を続ける両親と積極的に関わりたい、との思いから回し始めたカメラには、“老老介護”、“オレオレ詐欺”といった高齢者を取り巻く社会問題だけでなく、花や虫など様々な命も映り込む。介護や看取りは他人事でなく、“看取り難民”という言葉も生まれた高齢化が進む日本。いつ何が起こり、いつ終わるのかもわからない日常をどう生きるか。不思議な爽快感にあふれた、ある看取りの記録。
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作品データ
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