ウィリアム・ラッセル
William_Syke
「鉄拳の響」「妻といふ妻」などと同じくスティーブン・フォックス氏の原作で、「鉄拳の響」を始めラッセルのアメリカン映画を数多く監督し、その後「二十三時間半」などパ社インス映画などでますます知名となったヘンリー・キングの監督によったものである。ラッセルの相手役はルール・ウォーレントン。
テキサスの牧場地方で、鉱石運搬の安全なるよう警戒の任にあったウィリアム・サイクスが一団の悪漢を追跡した時、悪漢はあるメキシコの老牧場主を巧みに欺し込んでここを隠れ場所とした。サイクスが愈々そのところに乗り込んだ時、あくまでも悪漢を誤信していたその老人や彼の娘は巧みに悪漢の連中を残らず山奥に逃れしめた。しかしサイクスに会って彼は始めて今まで世話をした連中こそ悪漢であったことを悟り、娘も始めはサイクスをメキシコ人の仇敵とまで考えていたが、男らしい彼の真價は彼女に尊敬の念を抱かしめ遂には愛をさえ捧げるに至った。かくしてこの父娘の協力を得たサイクスの一隊は首尾よく悪漢を捕らえることができた。
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