ミリアム・ホプキンス
Emma_Krull
「ウォタルウ橋」と同じくロバート・E・シャーウッドの筆になる舞台劇を「乗合馬車」「踊る人生」のベンジャミン・グレイザーが映画脚本に書き改め、「モダンガールと山男」「真夏の狂乱」のウィリアム・C・デミルが監督し、「悪魔が跳び出す」「忍びよる心」のカール・ストラッスが撮影に当たったもので主なる出演者は「二十四時間」「陽気な中尉さん」のミリアム・ホプキンス、「光に叛く者」「アメリカの悲劇」のフィリップス・ホームス、「キック・イン」「市街」のウィン・ギブソン、「アメリカの悲劇」「愛する権利(1930)」のアーヴィング・ピチュル、ジェームズ・クレイン、スタンリー・フィールズ、スチュアート・アーウィン、ジョセフィン・ダンらである。
厳正を以って鳴るサウス・ダコタ州上院議員クラール氏はニューヨークの淫蕩な生活を極端に排撃し、ニューヨークは罪悪の都なりと痛罵していたが、彼の持論をラジオで放送するためにニューヨークへ出掛けて来た。彼の娘エマはかねて未だ見ぬ大都会の華やかな生活に憧れていたので父に頼んでニューヨークへ連れてきて貰ったが、友達のヘレンは早速彼女をナイト倶楽部へ案内した。そこで彼女はジョゼフ・グレンシャム(ジョー)という青年を知り、二人はいつしか恋に陥った。大銀行家を父に持つジョーは大学を出た後、金のあるに任せて酒と女に身を持崩している札付きの蕩児だった。彼にはダンサーをしているフィリスという妻があった。妻と言っても酔った紛れの戯れに結婚したまでで、同棲はしていなかった。それどころかフィリスにはジョイスという博徒の情夫があり、その男の指金でフィリスはジョーに多額の手切金を要求していた。ジョーとエマとの恋愛を知ったクラール氏はジョーの放埒を憎んで二人の結婚を許さなかった。ジョーからフィリスとのいきさつを聞いたエマは、フィリスを訪れ、この際手切金を要求してことを荒立てるのは不利だと説得した。これを立ち聞きしていたジョイスは腹いせにフィリスの宝石を盗み自分のハンケチに包んでポケットに収めた。その後で二人が手切れ金のことで口論中フィリスは誤って窓から街上へ墜落即死した。たちまち警官の出張となったのでジョイスは危険を感じ手早く宝石を包んでハンケチを衝立の後に投げた。ハンカチは泥酔して眠っていたクラリッサというダンサーの膝に落ちた。彼女はそれを自分のハンケチだと思って手提げに納い込んだ。折悪しくフィリスの部屋にジョーの帽子があったため彼は最も有力な嫌疑者として拘引され、その他居合わせた男女も全部参考人として警察へ連行された。その際偶然クラリッサの取り出したハンカチがジョイスのものであることが知れたため、ジョイスはついに包みきれず一切を自白したのでジョーは釈放され、クラールもついに二人の結婚を許したのである。
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