監督、製作、撮影
ベトナム戦線に参加したアメリカの第7海兵隊の若き兵士と戦争の悲惨を描いた長編ドキュメンタリー。製作・監督はジャーナリスト出身のユージン・S・ジョーンズ、製作進行はナタリー・R・ジョーンズ、撮影はユージン・S・ジョーンズ、J・バックスター・ピータース、クリストファー・サージェント、録音はロバート・ペック、編集はジョノ・ロバーツがそれぞれ担当。黒白、スタンダード。1968年作品。
ストーリー
米軍第7海兵隊の若き兵士たちは、世界の非難を浴びながらも、“ベトナムに平和をもたらすため”という信条を唯一の誇りとして、今日も戦っていた。ドロ沼の闘争の中での、わずかな祈りの時間もせわしなくすぎ、彼らは執拗なベトコンの攻撃とむかい合わなければならなかった。敵地へ向かう彼らは、最近までベトコンの本拠だった村に到着。静寂につつまれたその村と、不安な顔つきの村人たち。若い兵士たちは、安全と判断し、ここで一時の平和を楽しんだ。それもつかの間、ベトコンの仕掛けていった爆弾が爆発し、数名の兵士が死傷した。戦場に感傷はない。倒れた友を残し、兵士たちは前進した。ベトコンを撃退し、村を焼く。罪もない村人たち、そして死。この悲惨な戦争。若い兵士は空をあおいだ。「平和が欲しい、戦争なんかもういやだ!」。その叫びの中で、彼はただ人を殺すだけしかないことに、気づくのだった。何日かが過ぎた。ラジオからはクリスマスを告げるコーラスが聞こえる。平和な世界と恐怖の世界が、不気味に共存するこの現実。ベトコンの攻撃は、日毎激しさを増した。米軍司令部はこれに対抗すべく、最後の総攻撃に移った。火炎放射戦車はジャングルや村々を焼き払った。この、人間が犯す最大の誤ちのため、意味もなく多くの人々が命を落としていった。若き兵士たちの前には、決して平和はない。あるのはただ、死の世界のみである。(松竹映配配給*1時間11分)