ロナルド・コールマン
Raffles
米国の探偵小説家E・W・ホーナング作の短編集を基として「ブルドッグ・ドラモンド」のシドニー・ハワードが脚本を組み立て「愛欲の人魚」「彼の捕えし女」のジョージ・フィッツモーリスが監督しジョージ・バーンズ、グレッグ・トーランドが撮影にあたった映画で、主演者は「ブルドッグ・ドラモンド」「海のロマンス」のロナルド・コールマン。助演者は「戦争と貞操」のケイ・フランシス、その他ブラムウェル・フレッチャー、フランセス・デード、デイヴィッド・トーレンスなどである。
紳士強盗としてロンドンにその名を知られていたラッフルズもグウェンという美女と恋仲になるとともに今までの道楽としていた盗賊生活から離れようと考えるにいたった。だがせっかくそう決心した彼もその望みを一時中止せねばならぬハメに立った。というのは自分の無二の親友バニーがクラブでカルタに大負けをとったがためである。ラッフルズはこの負債を苦にして自殺しようと思いつめているバニーをみていたく同情し、彼のためにその大金を調達する手段を講ずる。しかし富裕ならざる身の何として容易にそれを集め得られよう。彼はそこでもう1度だけ悪を侵そうと心に決める。メルローズ卿夫人が高価なるダイヤモンドの首飾りを持っていることを知った彼は週末を利用してその邸宅の客となった。メルローズ夫人を首尾良く掌中に収めたラッフルズは彼女の油断を見すまして首飾りを盗もうとしたが、この時思いがけないグウェンの来訪とロンドン警視庁のマッケンジーの出現によって妨げられてしまう。マッケンジーは宝石泥棒がメルローズのダイヤモンドを狙っているという報告に接して急ぎこの邸に駆けつけたのである。この噂が流布された結果としてクラウショウという盗賊もこの宝石に目をつけ始めた。クラウショウ一味が仕事にかかると知ったラッフルズは彼等が問題の宝石を盗み出した時、クラウショウを捕らえ宝石を横取りして自宅に引き上げる。クラウショウは縛につきその自白によってラッフルズに嫌疑がかかる。グウェンはこの時ようやく恋人の本性を知ったが彼に対する彼女の愛はそれでさめる所かなお一層強くなった。彼の身を案じた彼女はラッフルズの跡を追って危険が迫ったことを告げる。彼女の熱心さに感じたラッフルズはマッケンジーを撒いてパリに高飛びしようと相談する。おりから当のマッケンジーがメルローズ卿とともに現れ、ラッフルズはダイヤモンドをバニーの手で返却させる。かくてバニーは必要の金額をメルローズ卿から贈られた。だがマッケンジーはラッフルズを捕らえようとするので、ラッフルズは時計の裏の秘密の逃げ道から逃走する。かくてグウェンと落ち合った彼は自由な生活に入るのである。
Raffles
Gwen
Bunny
Ethel
McKenzie
LadyMelrose
LordMelrose
Crawshaw
Barraclaugh
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