ジャクリーン・ビセット
Helen
姿なき殺人鬼に追われる口のきけない人妻の恐怖を描くサスペンス。30年前のロバート・シオドマク監督作品の再映画化。製作総指揮はジョセフ・シャフテル、製作はピーター・ショウ、監督は「国際殺人局K・ナンバーのない男」のピーター・コリンソン、原作はエセル・リナ・ホワイト、脚本はアンドリュー・メルデス、撮影はケン・ホッジス、音楽はフィリップ・マーテル、編集はレイモンド・ポールトンが各々担当。出演はジャクリーン・ビセット、クリストファー・プラマー、ジョン・フィリップ・ロー、サム・ワナメイカー、ミルドレッド・ダンノック、ゲイル・ハニカット、エレーン・ストリッチなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。テクニカラー、ビスタサイズ。1975年作品。
ここ1年間でヘレン(ジャクリーン・ビセット)の家の近隣で5人の身体障害者が何者かによって殺害された。ヘレン自身も突然の火災で夫と子供を失い、それを見た衝撃と恐怖から口がきけなくなっており、たえず殺人鬼のかげにおびえていた。ヘレンの邸には、叔父のシャーマン教授(クリストファー・プラマー)、彼女の祖母シャーマン夫人(ミルドレッド・ダンノック)、その看護婦(エレーン・ストリッチ)が住んでいた。教授は心理学を応用した“ビジネス・サイコロジー”研究所を経営しており、将来は美しい秘書ブランチ(ゲイル・ハニカット)と結婚することになっていた。ある夜、邸の近くから女性の惨死体が発見され、フィールズ警部補(サム・ワナメイカー)がパトロールに来た。その時、邸内から怪しい男がとび出した。制止もきかずに逃げる男をフィールズが射殺した。しかしその男はただの浮浪者だった。そんなこともあって、保安のために若い男が必要だと、教授は弟のスティーヴ(ジョン・フィリップ・ロー)を呼びよせた。彼はニヒリストだったが、そんな彼にかえって心ひかれたのがブランチだった。夜がふけるにつれ嵐はますますひどくなって家中の電気が消えた。ローソクの灯りが頼りの夕食のテーブルで、ブランチは教授にしばらく旅に出てみたいときりだした。驚く教授に、冷笑的な笑いを浮かべたスティーヴが自分も彼女と一緒にいくといった。教授は怒って部屋を出ていった。そのあと、石油をとりに物置に入ったブランチは、ドアのそばの石油ランプが消えたのに愕然とした。部屋の中に誰かがいる。そしてわざと消したのだ。しかし、マッチの火を持った人影が近づいてくるのでホッと安心した。その直後、マッチを捨てたその人物は手袋をはめた手をいきなり彼女の首にまわした。ただならぬ気配に物置に入ったヘレンはブランチの絞殺死体をみて呆然とした。ヘレンは何かを叫ぼうとしたが、声にはならなかった。遠い記憶が甦った。燃えさかる家の窓辺で必死に彼女を呼んでいた娘の悲鳴。火だるまとなって階段をころげ落ちてきた娘の断末魔の姿……。我にかえるとヘレンは人影が秘んでいる部屋のドアを閉め鍵をかけて助けを求めて懸命にらせん階段をかけ昇った。そこには教授がいた。しかし、彼こそは一連の殺人事件の犯人だった。完全主義者の彼は身体障害者が許せなかったのだ。ヘレンは大声をふりしぼった。そこにで奇跡がおこった。声が出たのだ。その悲鳴をききつけた祖母のシャーマン夫人がそこに駆けつけた。シャーマン夫人の手に握られた拳銃が火を吹き、殺人鬼シャーマン教授はその場にくずれおれた。(ワーナー・ブラザース映画配給1時間30分)
Helen
Dr._Sherman
Steven
Lieut._Fields
Mrs._Sherman
Blanche
Nurse
Rawley
監督
脚本
原作
製作
製作総指揮
撮影
音楽
編集
[c]キネマ旬報社