来年のアカデミー賞授賞式が延期に!?4月のルール変更からこれまでの流れをおさらい
2021年2月28日(現地時間)に開催予定の第93回アカデミー賞が延期となるかもしれない。米映画業界誌Varietyなどが伝えたところによると、「延期の可能性が出てきている」とアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーのメンバー複数人が明かしたそうだ。現時点で延期後の日程などは公式には発表されておらず、授賞式をテレビで生中継するABCも2月28日の放送予定を変更してはいない。
アカデミー賞については、4月にルールが変更されたばかり。昨年までの規則では、ロサンゼルス郡の映画館において1日3回以上7日間に渡り連続で有料公開された作品を候補作と認めていたが、今年度に限り、劇場公開と同時に配信された作品も作品賞を含む各部門のノミネート資格を有することとなった。
そして、音響編集賞と録音賞が統合され、劇場営業が再開後は現行ロサンゼルス郡での商業公開に限っていたものを、ニューヨーク市、ベイエリア(サンフランシスコなど)、アトランタ、シカゴ、マイアミでの劇場公開に拡大することが発表された。
また、国際長編映画部門のロングリスト選出に際し、国際長編映画部門の専門委員会だけでなく全アカデミー会員も予備投票が可能となる。作曲賞の選考基準には、6割以上のオリジナル作品を含む(続編やフランチャイズ作品は8割以上)ことを追加している。
授賞式の日程が変更になると、候補となる作品の公開日にも影響が及ぶことになる。現行のルールでは、年内にロサンゼルス郡の映画館で公開されることが候補作の基準となっているが、授賞式の日程が変更となった場合は、2020年の年末を越えて公開された作品も候補となる可能性が出てくるからだ。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、アメリカの映画館の多くは3月中旬から閉鎖中のままだ。5月8日から外出制限規制を緩めた州では約200館が営業を再開したが、大手シネコンチェーンは含まれず、新作映画の公開も限られている。
通常であれば5月末のメモリアル・デーの週末から夏休み興行となり、大作映画が多く公開されるころだが…。近々で最も大規模に公開が予定されている作品は、7月10日にアメリカでの公開が予定されているクリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』(9月18日公開)だが、その時点で映画館が再開しているかどうかはわからない。もしアカデミー賞授賞式が延期となると、さらに多くの作品が公開延期を決定することになるだろう。
文/平井 伊都子