【連載】『南沙良の 映画と小惑星ふたつぶんくらいの愛』第19回 今月のテーマ:雨
18歳の演技派、南沙良が「DVD&動画配信でーた」にて「南沙良の 映画と小惑星ふたつぶんくらいの愛 いよいよ壁がなくなるぞー!のテンションで映画を観る」を好評連載中。毎回ぱっと思いついたテーマをもとに映画を鑑賞。ときに趣味や普段の生活などの話題に脱線しつつ、彼女の素顔が垣間見えるような内容になっている。第18回のテーマは“雨”。雨を描かせたら右に出るものはいない新海誠監督の中編をセレクト。
「雨の日、駅の階段を踏み外して全身アザだらけになったトラウマが…」
――雨のシーンが特に印象的な作品です。
「同じ新海監督の『天気の子』を観た時にも感じたんですけど、雨の描写は本当にすごいですよね。感動しました!」
――高校生のタカオが27歳のユキノ先生と出会うのは実在の場所、新宿御苑でした。
「新宿御苑、むちゃくちゃ綺麗でしたね。劇中でふたりが出会ったベンチには私も行ったことがあるんですけど、現実よりアニメのほうが美しく描かれてました(笑)」
――かなり年の差のあるラブス・トーリーでしたが、どちらかに共感しました?
「いえ、あまり(笑)。そもそもタカオみたいに大人っぽい高校生なんていませんよ! 『雨の日の午前中は授業をサボるようにしてる』ポリシーは共感しましたけど(笑)」
――雨だとサボりたくなる?
「いえ、天気関係なく(笑)」
――タカオは「俺、ゆきのさんが好きなんだと思う」と、どストレートに告白していました。ああいった恋愛は…?
「正直ちょっと…(笑)。でも、最初の方でユキノが万葉集の歌をタカオに送って、最後のほうでタカオが返し歌を口にするのは詩的で良かったです。あれはやってみたい!」
――万葉集詳しいんですか?
「全然、詳しくないです。万葉集ってものが存在することしか知りません(笑)」
――ラストではタカオがユキノの靴を完成させますが、ユキノは四国の故郷に戻っています。あの続きを、もし南さんが書くなら?
「ふたりは絶対再会させません。別々の人生を歩ませます」
――な、なぜ?
「会わせるのはしゃくだからです。私が(笑)。とにかく、タカオはちゃんと靴職人になってすくすく育つと思うので、ユキノのことは、ふとした時に思い出してくれれば、私としてはOKです」
――誰目線なんですか…。だけど、タカオがその後付き合う彼女は大変ですよ。
「なんでですか?」
――だって、もし南さんの付き合った彼氏が「高校の時にユキノさんっていう、すごく素敵な国語の先生がいてさ」って言ってきたら?
「それは…!! やっぱり時々思い出すのもダメ!」
――彼が口に出してそう言わなくても、南さんがその彼氏の家に行ったら、例のユキノの靴が飾ってあるわけですよ。
「うわ…。いちばんイヤです」
――ちなみに南脚本だとユキノのその後は?
「ユキノには常に不幸でいてほしいです。すごく不幸が似合いますからね」
――こらこら! では話を変えて、雨にまつわる南さんの思い出など。
「雨にはトラウマがあるんですよ。3年くらい前の雨の日に友達と約束があったんですけど、向かう途中、駅の濡れた階段を踏み外してずり落ちちゃったんです、ズダダダダー、って15段くらい。全身アザだらけで、むちゃくちゃ痛くて、駅員さんに保護してもらいました。結局、電車に乗れず、待ち合わせ場所にも行けなかったんですが…」
――それは大変でしたね…。
「結局、その友達とはフェイドアウトです」
――え!? 終わり? 絶交?
「痛すぎて連絡どころじゃなかったので、夜になってから事情を説明がてら連絡したんですけど、返信が返ってきませんでした。信じてもらえなかったみたいで…」
――かける言葉がないです…。
取材・文/稲田豊史
写真&ひとこと:クレープをつくる動画を見ることが好き
毎年訪れる、一年の通知表をもらう気持ちになるこの日。今年も家族が素敵なサプライズを用意していてくれた。この時間を歩んでいることを忘れないために、今日も私はカレンダーを自分でめくる。
2002年6月11日生まれ。第18回ニコラモデルオーディションのグランプリを受賞し、同誌専属モデルに。女優としては、映画『幼な子われらに生まれ』(17)に出演し、デビュー作ながらも、報知映画賞、ブルーリボン賞・新人賞にノミネート。その後、行定勲が監督を務めたロックバンド・レベッカの17年ぶりの新曲「恋に堕ちたら」(17)のMVに主演。映画初主演作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)では、第43回報知映画賞、第61回ブルーリボン賞・新人賞、第33回高崎映画祭・最優秀新人女優賞、第28回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞し、その演技力が高く評価される。'19年1月に放送された、第30回フジテレビヤングシナリオ大賞・大賞受賞作『ココア』(フジテレビ系)ではドラマデビュー&初主演。“写真”をテーマにした『ピンぼけの家族』(20)でNHKドラマ初出演を果たした。アーティスト、sumikaの楽曲「エンドロール」のショートフィルムでは主演を務める。映画『もみの家』(20)に主演、『太陽は動かない』(2021年春公開)にも出演。江崎グリコ「ポッキー」イメージキャラクター。