「“主人公が女性”を当たり前のことにしたい」シャーリーズ・セロンとキキ・レインが明かす、『オールド・ガード』の挑戦
「いままで以上に、エンタテインメントは観客を鼓舞するものになるのではないか」(セロン)
――#MeToo運動と呼応して、ここ数年ハリウッド映画における女性の描かれ方が変わってきたと感じます。この潮流をどう受け止めていますか?
CT「映画が現実に追いつこうとしているような、奇妙な感覚はあります。いまの社会における立ち位置や能力、単純に男女が等しく生きている姿などにおいて、女性の描かれ方は決して正確ではないでしょう。『アクション映画の主人公が女性2人?それはおもしろいね』って指摘されたりすること自体、どうなんだろうか…と思います。こういう作品が普通に受け止められる状態になればと常々考えていますし、ジャンル映画は女性には作れないという大きな誤解が間違っているという事を私たちは証明し続けています。私が生きているうちに、それらが当たり前のことになって欲しいですね」
KL「100%、同感!」
――この映画の製作が開始されたときには想像できなかったほど、いまの世界はパンデミックや人種問題で混とんとしています。そんな現在にも通じるメッセージがこの映画にあるとすれば、どんなことだとお考えですか。
CT「この映画はテーマ的に、歴史上の取り返しのつかない失敗や繰り返しについて触れています。それがいま起きている事と重なるのは残念だけれど、『オールド・ガード』からは“どんなに状況が厳しくなっても戦い続けなければいけないし、人類には戦うだけの価値があると信じるべきだ”というメッセージを感じてもらえるはず。いままで以上に、エンタテインメントは観客を鼓舞するものになってくるのではないでしょうか」
KL「私もそう思います。ナイルは劇中で、何度も聞きますよね?『なぜ私はこの能力を授かったの、なぜいま授かったの』って。いまいろいろな事が起きているなかで、多くの人たちが同じ事を自問していると思うんです。この状況のなかでの自分の役割とは、どうやったらこの闘いに貢献できるのか、苦しんでいる人たちをどんな風に思いやれるのか、与えられた時間をどう使っていくのか。そしてどうやったらいまをよりしっかり生きられるのだろうか?と。そういう共通点があると思いますね」
取材・文/相馬 学