『窮鼠はチーズの夢を見る』原作者の水城せとな、大倉忠義の“優しさの壁”が「原作と共通」と分析

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『窮鼠はチーズの夢を見る』原作者の水城せとな、大倉忠義の“優しさの壁”が「原作と共通」と分析

原作者の水城せとなと行定勲監督がトーク!
原作者の水城せとなと行定勲監督がトーク!

関ジャニ∞の大倉忠義が主演を務める映画『窮鼠はチーズの夢を見る』(9月11日公開)の夏休み限定イベントが8月27日にスペースFS汐留で開催され、メガホンをとった行定勲監督と原作者の水城せとなが登壇。実写として登場したキャラクターについて、その魅力を語り合った。

人を好きになることの喜びや痛みを純粋に描いた水城せとなの漫画「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を映画化した本作。受け身の恋愛を繰り返してきた恭一(大倉)と、彼を一途に想う今ヶ瀬(成田凌)の狂おしくもせつない恋を描く。

傑作コミックを映画化した行定監督だが、「プレッシャーだなと思った」と映画化に際して原作を読んだ当時の印象を吐露。「名言だらけ。セリフがすばらしい。洪水のようで、僕はそれに飲み込まれるような圧を感じた。ものすごく迫ってくるものがあった」と魅了されたそうで、「脚本を作るのに2年くらいかかってしまった。容易ではなかったけれど、恋愛劇ってこんなにも深いものなんだと思わされた」と刺激も受けたという。

イベントに登壇した水城せとな
イベントに登壇した水城せとな

「昨今、ありがたいことに映像化の話をちょこちょこいただく」という水城は、「企画書から想像するしかないですが、なるべく私が感じていたものと空気感が近いものがいいと思っていて。行定監督からいただいた仮のシナリオには、(自分の描いたものと)共通する空気感がちゃんとあった。『これは進めていただいて大丈夫です』とお返事しました」と信頼して、原作を託したそう。

劇中では、女性と恋愛してきた恭一と、彼を想い続けてきた今ヶ瀬の男性同士の恋が描かれる。水城は「漫画の今ヶ瀬は、かわいいところもあるけれど、自分を守ろうとする防御に意識を配っているところもある。漫画の今ヶ瀬のほうが、『別にいつ終わっても平気』と強がる度合いが高い。成田さんが演じた今ヶ瀬のほうが、子犬感があって無防備」と分析。

イベントに登壇した行定勲監督
イベントに登壇した行定勲監督

行定監督は「大倉くんに対して、(成田は)子犬のようにスキンシップを取ろうとしていた」と現場の関係性においても、成田に“子犬感”があったと暴露。一方、恭一に関しては「漫画の恭一は従順な男で、単純なところもある」と語り、「でも大倉忠義の恭一は、ちょっと奥底が見えない。少しずつ違うから、見比べてみるとおもしろいと思う」と役者の本質が注ぎ込まれたからこそ、実写には新たな魅力が生まれているという。水城は「大倉さんの恭一が原作と共通していて、かつ、そこがより強調されていたと思うのは、“優しさ”で壁を作るタイプだということ」と語っていた。

原作ファンも多くいる作品だが、水城は「もしこの映画が(自分の思っていたものと)違ったとしても、それはいまの時代で言う多様性なので、こういう世界もできたんだなと楽しんでいただきたい」とファンにメッセージ。行定監督は「これはラブストーリー、恋愛映画なんだと胸を張れる作品になった」と自信をのぞかせていた。

取材・文/成田おり枝

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