「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020」閉幕!SKIPシティアワード受賞の串田壮史監督、”映画的な喜び”の力を語る

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「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020」閉幕!SKIPシティアワード受賞の串田壮史監督、”映画的な喜び”の力を語る

「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020」の授賞式が開催
「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020」の授賞式が開催

9月26日~10日4日まで、オンライン開催されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2020の授賞式がSKIPシティ映像ホールで開催され、各賞が発表された。SKIPシティアワードを受賞した『写真の女』の串田壮史監督は「いま、コロナ禍の影響や政治的な立場の違いで、世界中で分断が広がっていますが、映画的な喜びは、分断されてしまった人たちを一つにすることができることだと思っています」と力強く訴えかけた。

コロナ禍で、映画祭プログラムが例年よりも縮小され、世界106の国と地域から厳選した「国際コンペティション」10作品、「国内コンペティション」14作品(長編5作品、短編9作品)が、動画配信サイト「シネマディスカバリーズ」で配信上映された本映画祭。

最初に、大野元裕埼玉県知事は「今年は、オンラインでの開催となりました。『困難は新しい世界への扉である』というエジソンの言葉もありますが、厳しいなかで、伝統と、これまで紡いできた力によって、新しい形を生みだせたのではないかと。今年は、6388名の方に視聴していただきました」と胸を張った。

国際コンペティションの審査委員長は、日仏映画では『あん』(15)や『淵に立つ』(16)、などで知られる映画プロデューサーの澤田正道が、審査員は『Red』(20)の三島有紀子監督、ロッテルダム国際映画祭やロカルノ国際映画祭のプログラマーを務めてきたジュリアン・ロスが務めた。

国際コンペティション部門の最優秀作品賞を受賞した『願い』のマリア・セーダル監督
国際コンペティション部門の最優秀作品賞を受賞した『願い』のマリア・セーダル監督

国際コンペティション部門最優秀作品賞を受賞した『願い』(ノルウェー、スウェーデン)のマリア・セーダル監督は、ビデオメッセージで受賞の喜びを語った。「私にとって、個人的な体験を映画に撮るのは、初めてのことでした。でも、感情的にも文化的にも、国境を超えられたと思っています。少なくともそう信じています」。

国際コンペティション部門の審査委員長を務めた澤田は、今回の総評をこう述べた。「一つは、女性監督の作品がすでに根を張ってきていること。性差別が、徐々に昔のことになっていること。受賞した2本の作品は、いわゆる女性監督作ですが、誰もそこは意識していません。
また、もう一つは、様々な作品が、映画という表現を使って、世界と対峙していることを見せてくれたこと。戦争についても、作る側においては、映画で扱うことの責任と覚悟も改めて感じさせていただきました。他の国で起きていることは、決して外のことではないということです。
3点目は、どんなジャンルの映画であれば、必ずいまが映しだされていたことで、とても興味深く観ることができました。商業的には、イベント性を持たない映画が、いまは公開も難しくなってきていますが、映画祭は別の価値観から、単純に映画を映画として見せるという可能性を残していると思います。短い期間でしたが、学ぶべきことが多かったです」と述べた。

国内コンペティション部門の審査委員長は、美術監督の部谷京子が、審査員は『モリのいる場所』(18)の沖田修一監督や、映画配給会社Third Window Films代表でプロデューサーのアダム・トレルが務めた。

SKIPシティアワードを受賞した『写真の女』の串田壮史監督
SKIPシティアワードを受賞した『写真の女』の串田壮史監督

SKIPシティアワードを受賞した串田壮史監督作『写真の女』について、部谷審査委員長は、「独特の世界観を持つとてもユニークな作品で、89分間、飽きることなく画面に集中できました」と高く評価をした。

串田監督はまず、「僕はオンラインで楽しみましたが、映画のすばらしさを再確認する機会となりました」と言ったあとで、世界の分断について触れ、「映画は、国籍も言葉も文化も言葉も性別も人種も超えるものだと思っています。次回作は、映像の喜びを皆さんにお届けできるような作品にしたいです。また、『写真の女』は来年上旬に公開となりますので、ぜひご高覧いただけたら」と力強く語った。


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