蒼井優と高橋一生、『スパイの妻』イベントでヴェネチア銀獅子賞のトロフィーに感銘!黒沢清監督の意外な素顔も
第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞作『スパイの妻 劇場版』(10月16日公開)で、黒沢清監督、蒼井優、高橋一生が生配信で視聴者からのQ&Aに答える生配信イベントが、10月7日に渋谷のユーロライブで開催。3人は受賞後初の公の場となり、銀獅子賞のトロフィーもお披露目された。黒沢監督は「ニュースを聞いた時は、やった!と思いつつ、ほとんど実感がなかったのですが、数日前にやっとこれが届いて。なにやら映画の歴史に名前が刻まれたんだなと、これを見ると(実感が)湧いてきます」と喜びを口にした。
黒沢監督は、受賞について「僕だけじゃなくて、作品が(賞を)獲った。全員の力、全員のものだと思います」と延べ、スタッフ、キャスト全員への感謝の気持ちを述べた。
蒼井は、トロフィーを間近で見て「人生でこんなに近くで見ることなんてないなと。触れる距離にあるけど、触ろうと思わないくらい圧があるなと思います」と言うと、高橋も「同じくです。むしろ現実感がないんです。ここにあるのが」と言いつつも「非常になめらかだと思いました。つるつるです」と印象を述べた。
視聴者からのQ&Aでは、様々な質問に答えてくれた3人。黒沢監督の意外な素顔について、蒼井は「黒沢監督とご一緒するのは、今回で3本目でしたが、監督は神戸の方で関西人なので、笑いを大切にされていると、撮影が終わってから初めてうかがいました。現場では寡黙な方なので、意外でした」と言うと、高橋も「そうですね。まさか一つ一つに笑いを取ろうと思っているとは!」と驚いたそうだ。
また、蒼井は、黒沢組に参加して「想像と違った」と思った点について尋ねられると、「本当に多くのことを学びました。想像と違ったことは、できあがった映画が、自分が想像していた何百キロも先の作品になっていたことです。自分の考えるかぎりのすばらしい映画を想像していたけど…。力を持った強度のある映画ってこういうことなんだと感動しました」と充実感あふれる表情を見せた。
高橋は黒沢監督の演出について「心を説明し合って、すり合わせるよりも、肉体を使って、ここからここ、と言ってくださる演出で、ある意味、心が自由に動かせました。画角の外に出てしまえる自由さがあり、画のなかに入っていなくても語れる可能性をまざまざと感じることができました。非常に充実した時間を過ごせていただいたと思います」としみじみ語った。
最後に黒沢監督が「80年くらい前の日本に生きた夫婦の物語ですが、ここにいるものすごい2人の俳優が、すさまじいお芝居を見せてくれています。ときにものすごい剛速球が、ときにはどこへ行くかわからない変化球が飛んできますので、覚悟して観てください」と力強く締めくくった。
取材・文/山崎伸子