スーパーマンからホームズへ、ヘンリー・カヴィルが語る“カルチャー・アイコン”を演じる秘訣
――シャーロック・ホームズは年代を問わず、世界中に多くの熱狂的なファンがいますが、彼らの反応は気になりましたか?
「もちろん。これまでにもいくつかのアイコン的なキャラクターを演じているので、ファンからの意見を聞くことには慣れているし、それはむしろワクワクすること、興味深いことでもあるんだ。完璧ですばらしいと感じてくれる人もいれば、逆に、別の方向が良かったと感じる人もいる。私が最優先しているのは、キャラクターよりも物語なんだ。映画が娯楽である以上、物語を伝えることはもっとも重要なことだからね」
――プロデューサーも兼ねているミリーとの仕事はいかがでしたか?演技の先輩としてアドバイスされたことはありましたか。
「アドバイスはないよ(笑)。ミリーはすでに経験を積んだ俳優で、いまはプロデューサーでもある、すばらしい女性だ。なにも心配する事はないと思うよ。プロデューサーとしての働きぶりもすばらしかった。つねに論理的な意見を持っていて、撮影現場で質問が出た時、例えば『どういう方向性で行くべきか、それはなぜか?』と聞かれた時も、答えを探しているのではなく、すでに持っているんだ。それでいてとてもオープンに議論できる、理想的なプロデューサーだよ」
――コロナ禍で世界中が影響を受けていますが、エンタテインメントに対する考えが変化した部分はありますか?
「エンタテインメントに関する考えが変わったかどうかはわからないけれど、ロックダウンの間、特に私が住む英国では強制的に休暇になり、考える時間、自分の時間が増えた。この時間を自分なりに楽しむことが出来たし、ひと息ついて自分にとって仕事上でも個人的にも、なにが大切なのかを考える機会になった。
世の中は本当に多くのことが変わり、今後の展望も変わったけれど、変わらないのは、その状況のなかで自分のやりたいことをする、ということ。友人がいつも言っていることなんだけれど、“人生は、生きるためにある”んだよ」
――過去には来日されたこともありますが、次の来日を心待ちにしているファンにメッセージをお願いします。
「私は日本の大ファンで、早く日本に戻りたいと思っている。日本で休暇を過ごすことも考えているんだ。ご存知の方もいらっしゃると思うけれど、私は秋田犬を飼っているので、次に日本を訪ねた際にはぜひ秋田に行ってみたい。私の”親友”のルーツを探索してみたいんだ」
取材・文/相馬学