第33回東京国際映画祭が開幕!役所広司は「感動の記憶が僕の生きていく力になっている」とスピーチ

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第33回東京国際映画祭が開幕!役所広司は「感動の記憶が僕の生きていく力になっている」とスピーチ

フェスティバル・アンバサダーを務める役所広司
フェスティバル・アンバサダーを務める役所広司

第33回東京国際映画祭(TIFF)が本日10月31日に開幕し、東京国際フォーラムでオープニングセレモニーが開催。フェスティバル・アンバサダーを務める役所広司をはじめ、北村匠海や土屋太鳳、平祐奈など豪華キャストがステージに敷かれたレッドカーペットに登場。この模様はオンラインでも生中継された。

映画の未来への希望の光を灯すべく、コロナ禍でも感染対策を取りながら、映画館での上映を基本としての開催に踏み切った今年のTIFF。10月31日~11月9日(月)に、六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズやEXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷、東京国際フォーラム、神楽座などで開催される。

東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康は「開催すべきかどうかずっと悩み続けていましたが、こうして多くの皆さんの参列をいただいた、オープニングセレモニーを開催できることは本当に感無量でございます」と感謝の言葉を述べたあと、戦前に活躍した名匠、山中貞雄の屈強な精神を引き合いに出しながら、力強く開幕宣言をした。

平祐奈がブラックドレスで登壇!
平祐奈がブラックドレスで登壇!

レッドカーペットには、ドレスアップした豪華キャストが登場後、ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ノーラン、カンヌ国際映画祭総代表のティエリー・フレモー、タイの映画監督でプロデューサーのアピチャッポン・ウィーラセタクンからのビデオメッセージも紹介された。

『フード・ラック!食運』の土屋太鳳
『フード・ラック!食運』の土屋太鳳

その後、役所が登壇。「今回の開催は、いままでとは違う形で、実行委員の皆さんの準備の苦労は、とても大変だったと思います」とスタッフ陣をねぎらいつつ、「東京国際映画祭は今日から始まります。気の抜けない開催期間だと思いますが、観客の皆さんと共に、頑張っていきたいと思います」と笑顔で語った。

映画の力について、役所は「子どものころから映画館で映画というものを体験して、無意識ですが、たくさんのことを教わった気がします。劇映画は、演劇とか音楽とか美術とか文学とか、いろんな要素があって、それぞれが見事に融合した時、暗闇のなかでゾクゾクするような感動を生みます。その感動の記憶というものが、身体に焼き付いていて、僕自身の生きていく力になっているような気がします。また、ドキュメンタリー映画は、事実の記録に強烈なメッセージがあって、時代を変えるすごい力のあると思っています」と熱い想いを口にした。

今年は例年の「コンペティション」「アジアの未来」「日本映画スプラッシュ」の3部門が、新作のショーケース部門として「TOKYOプレミア2020」という形で統合され、32本の作品が上映される。また、各作品は様々な賞を競わず、上映される全作品を対象にした「観客賞」のみが設けられた。

役所は「僕は観客が映画を評価するのは、一番正しいことだとは思うんですが、世界中の映画人が人生を懸けて作った作品を評価するのは責任重大。やはり国際映画祭ということで、正しく公正に、自分で素直に選ぶってことが重要なんじゃないでしょうか。映画祭で観客の皆さんが重要な役割を担うってことは、映画祭の熱気につながるような気がして、とっても良いことだと思います」と持論を述べた。

『本気のしるし<劇場版>』の主演俳優、森崎ウィン
『本気のしるし<劇場版>』の主演俳優、森崎ウィン

「Japan Now」部門特集が組まれた深田晃司監督は、『本気のしるし<劇場版>』(公開中)の主演俳優、森崎ウィンと、『よこがお』(18)の主演女優、筒井真理子と登壇。森崎は、「共感度0.1%の内容」とも評された本作について「気づいたら深田ワールドにのめりこんでいきましたが、本当に深田監督に感謝してます。深田マジックにかかっていたんだなと、作品を観て気付かされたました」と興奮しながらコメント。

『よこがお』の主演女優、筒井真理子
『よこがお』の主演女優、筒井真理子

『よこがお』で、2019年度の第70回芸術選奨映画部門で文部科学大臣賞を受賞したが筒井は深田監督に「本当に感謝しています」と言ったあと「コロナ禍で授賞式が中止になりまして。立派な賞状を、宅急便のお兄さんからいただきました」と言って笑いをとった。

深田監督はまず、自身の特集が組まれたことに恐縮しながら「映画祭がすごく大変ななかで開催できたことが奇跡のことのよう。また、『鬼滅の刃』が大ヒットして、映画館に活力が戻りつつある」と『鬼滅の刃』の制作陣やファンの方々に心からお礼を述べた。

「Japan Now」部門特集が組まれた深田晃司監督
「Japan Now」部門特集が組まれた深田晃司監督

続けて深田監督は「僕は、この業界の末席にいる人間ですが、映画祭は多様性を守れる最後の砦のような場所だと思っています。無事に、安全に配慮しながらの開催を決断された東京国際映画祭の皆さんにもお礼を申したいし、観客の方にもぜひ世界各国の映画を楽しんでいただきたい」と力強く訴えかけた。

取材・文/山崎伸子

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