北村匠海、TIFFオープニング作品『アンダードッグ』は「3人ともぎりぎりな身体で闘った」
第33回東京国際映画祭(TIFF)が本日10月31日に開幕し、東京国際フォーラムでオープニングセレモニーが開催。フェスティバル・アンバサダーを務める役所広司をはじめ、オープニング作品『アンダードッグ』(11月27日公開)に出演した北村匠海や瀧内公美など、多数の豪華ゲストがステージに登壇し、この模様はオンラインでも生中継された。
『アンダードッグ』は、Netflix配信の話題作「全裸監督」の武正晴監督が、『百円の恋』(14)以来6年ぶりにボクシングを題材に撮った映画で、前後編の2作で公開される。森山未來演じる“咬ませ犬”の崖っぷちボクサーや、北村匠海演じる、児童養護施設で育った才能ある若きボクサー、勝地涼演じる鳴かず飛ばずの芸人ボクサーが、人生を賭けて闘いに挑む。
『アンダードッグ』チームは、北村、瀧内、武正晴監督、脚本の足立紳、佐藤現プロデューサーらが登壇し、現在、大阪での舞台に出演中の森山もオンラインで参加した。
北村はTIFFに参加できたことに感謝したあとで「自分は格闘技をやったことが人生で一度もなくて。ただ、観ることは大好きだったので、ぜひ挑戦したいなと思いました。監督が武さんで、森山さん、勝地涼さんとリングに上がる機会を逃すまいと喰らいついていきました」と、本作への参加を熱望し、前のめりに挑んだことを明かした。
瀧内は「最初に武正晴監督で、足立紳さんの脚本ですとお聞きしましたが、台本が非常に厚みのある本で、前・後編だとお聞きしました。母親の役は初めてだったので、これを機に役の幅を広げていただけるなと思ったのと、いままで役者を続けてきたご褒美だなと感じました」と武組に参加できたことへの喜びを語った。
森山も「『百円の恋』を観させていただいてたので、武監督で足立紳さんの脚本で、もちろんやらせていただきたい!となったのが正直なところです。ただ、僕の役はしゃべらない。極端に言うと“……”しかない。リングの上でしか感情を発露できない人間なので、なかに流れるキャラクターみたいなものを考えつつ、ある種の愚直さ、無骨さを大事にやれたらいいのかなと思ってました」と役について語った。
天才ボクサー役で肉体改造もした北村は「家に帰ってもシャドーイングをし、リアルなボクシングの試合も観ていました。本当にボクサーの方の食生活をし、身体を追い込むトレーニングをやってました。僕たち3人とも、ぎりぎりな身体で闘ってました。男たち3人が這いつくばって立ち上がる姿を、どうか観てください」とアピールした。
武監督は、北村たちについて、本当に理想的なキャスティングだったと満足気。「ボクシングを題材にした映画は、作るのがとても難しくて。シナリオはすばらしいんですが、これをやれるキャストがいてくれたことで、この映画は作れたと強く思いました。キャスト陣は、そう簡単ではない役に全身全霊を懸けてやってくれた。2020年の1月、2月に撮影しました。厳しい年にはなりましたが、それを乗り越えるくらいのすごい演技を見せてくれたと感謝しています」と力強く手応えを述べた。
今年のTIFFは、映画の未来への希望の光を灯すべく、コロナ禍でも感染対策を取りながら、映画館での上映を基本としての開催に踏み切った。期間は10月31日~11月9日(月)で、六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズやEXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷、東京国際フォーラム、神楽座などで連日開催中。
取材・文/山崎伸子