北村匠海、小松菜奈、吉沢亮と『さくら』きょうだいが揃い踏み「顔面が強い、濃い!」
直木賞作家、西加奈子の同名ベストセラー小説を映画化した『さくら』(公開中)の公開記念舞台挨拶が、11月14日に新宿ピカデリーにて開催され、北村匠海、小松菜奈、吉沢亮、小林由依(欅坂46)、矢崎仁司監督、ちえ(ミックス犬・メス)が登壇。北村は観客席を⽬にし「遂に、間を空けずに座られた皆さんを前に、舞台挨拶に⽴ててすごくうれしいです」と喜びつつ、兄弟妹役で共演した小松、吉沢と並んだ感想について「顔面が強いなと。濃いなという感じがありました」と言って、会場の笑いを取った。
本作に登場するのは、5人家族と飼い犬1匹で構成される長谷川家。学校の人気者で、イケメンの長男、一(ハジメ)役を吉沢が、兄をまぶしい目で見る次男、薫役を北村が、一を心から慕う末っ子の美少女、美貴役を小松が、美貴の親友、大友カオル役を小林が演じた。
北村は、小松や吉沢との撮影を振り返り「3人で会うと、あの時、ああだったなという撮影の空気感や思い出が蘇る感覚があります」と、お互いに顔を見合わせた。
小松は2人との共演について「最近、メイキング映像を観させてもらったんですが、私たちは本当に楽しそうにやっていたんだなと。夜の撮影も多く、深夜ならではの変なテンションで、いま思えば全然おもしろくないことも全部おもしろく感じていました」と言うと、北村も「おもしろかったね」とうなずく。
吉沢も「いつも菜奈ちゃんは、撮影が終わったあと『おつカレーライス』と言って帰っていくんですが、それで僕たち2人も『おつカレーうどん』『おつカレーそば』とか、よくわからない感じで言ったりしていました」と言うと、北村も「いま聞いても全然おもしろくないけど、当時はめちゃくちゃおもしろかった」と3人で笑い合った。
吉沢も現場について「スケジュールがきつい部分もありましたが、そのなかで、お父さんお母さんを含め、家族としてすごくいい空気感でやれてました」と語る。
メガホンをとった矢崎監督は、原作の魅力について「僕は『愛が動機なら、してはいけないことは、なに1つない』という言葉を胸にずっと映画を撮り続けてきました。原作にはそこが書かれていた。最後に本を閉じた時、すごく温かいものがきて…」と、感極まって涙で声を詰まらせ、「それをみんなに伝えたいと思って映画を作ったんですが、きっといま、皆さんもちょっと温かいものを感じてくれていたらうれしいです」と感涙する。監督は、映画が完成した喜びをかみしめていたようで「みんなのおかげです」と心から感謝した。
舞台挨拶の後半では、劇中で飼い犬のサクラ役を演じたタレント犬のちえが登場。三兄弟のなかでは、吉沢に一番なついていたそうで、吉沢が「いま、覚えてくれてるのかわかんないな。ちえちゃん」と呼ぶが、大勢の観客を目の前にして、ちえは緊張気味の様子だった。
吉沢は、ちえとの共演シーンについて「本当にすごかった。彼女の動き1つでシーンが変わる。芝居が上手い。みんなで卒業アルバムを覗くシーンは完璧だった」と感嘆したそう。小松は「動物との撮影はいままでになかったので、ちょっと不安な部分があったのですが、それはすぐになくなりました。サクラに助けてもらったし、非常に頼もしかったです」とちえを称えた。
北村も「サクラが、僕ら5⼈を(いい意味で)振り回してくれた。近寄ってきたかと思ったら、すっとどこかへ⾏っちゃったりして。僕なんかカーストが低いほうで、すぐに亮くんや永瀬(正敏)さんのほうへ⾏っちゃう(苦笑)。僕は芋をあげないと来てくれなかった」と笑いながら、撮影時のエピソードを明かした。
矢崎監督は、サクラを含めて長谷川家について「作り上げていくというよりは、皆さんが家族になっていたので、僕は窓の外からよその家庭を覗くような感じて見ていました。本当にすばらしかったです」と賛辞を送った。
取材・文/山崎伸子