ヒロインの心の声から辿る『酔うと化け物になる父がつらい』の共感ポイント

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ヒロインの心の声から辿る『酔うと化け物になる父がつらい』の共感ポイント

「思い出の父はいつも酔っていた」――主人公サキのそんなひと言から始まる本作は、酒に依存する父と新興宗教にハマった母に育てられた、菊池真理子の実体験に基づくコミック・エッセイを映画化した家族ドラマだ。家族の崩壊という一見重いテーマがユーモラスに描かれ、つらい日々を気丈に生きるサキに共感を覚えずにはいられない。サキの繊細さを体現した松本穂香や、どこか憎めない父親をチャーミングに演じた渋川清彦らキャスト陣の名演も光る。12月2日(火)にリリースされるDVDに収録されるメイキングと舞台挨拶集には撮影秘話もたっぷり収録。笑いと涙満載で、最後には希望を与えてくれるこの物語は、家族の大切さを思い返すきっかけになるはず。ト書きや吹き出しで表現されるサキの気持ちはあなたが感じたことのある思いかもしれない。

「自分の気持ちに蓋をすればいいんだ」

普段は無口な小心者だが、毎日記憶を失くすほど酒を飲むトシフミ
普段は無口な小心者だが、毎日記憶を失くすほど酒を飲むトシフミ[c]2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会

トシフミ(渋川)の酒癖の悪さにしびれを切らした母親のサエコ(ともさかりえ)がいなくなると、トシフミは酒をやめ娘2人を世話するように。だが“良き父”としての生活は長く続かず、再び酒を浴びる“化け物”に戻り、サキは父への思いを押し殺す。父とうまくやっていくため自分の感情を犠牲にするサキの選択は、誰しもが感じたことがある痛みだ。

「おもしろいって魔法の言葉で嫌だったことが全部笑い話に変わった」

【写真を見る】高校生になり、イラストの才能に気付くサキ
【写真を見る】高校生になり、イラストの才能に気付くサキ[c]2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会

父との生活から現実逃避するため、サキはトシフミの醜態をパラパラ漫画に描く。それが友人の間で人気になり、家族の惨状を笑い話に変えることで心の拠り所を得る。現状を打破しようと漫画にしがみつくサキの姿に心揺さぶられる。

「私は寂しさを恋愛に依存して埋めた」

サキは父と似た男と付き合い愛情を求めてしまう
サキは父と似た男と付き合い愛情を求めてしまう[c]2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会

友人を通して出会った小説家志望の中村(濱正悟)と付き合うことになるサキだが、彼はDV男だった。暴力を振るう中村は酒をやめられないトシフミと重なり、父から感じられない愛情を父と似た存在に求めてしまう描写はリアリティにあふれる。

「でも関わらないとこの化け物は死ぬ」

父に無関心になればなるほどサキの葛藤は大きくなる
父に無関心になればなるほどサキの葛藤は大きくなる[c]2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会

トシフミががんで余命半年と宣告されると同時に借金を抱えていたことが発覚。迷惑をかけられた怒りに任せて父を見放そうとしても、父を失ってしまう悲しみにやるせなさを感じるサキの表情が涙を誘う。

脚本を務めた久歩歩が本作の魅力を語る!

今まで映画脚本を何本か書かせてもらいましたが、初めて実話を基にした原作だったので、どこまで忠実にするのか、どこまでふざけていいのかの境が難しかったです。監督の手を借りて共同で、いい感じに仕上がったかと思います作者の菊池真理子先生が涙を流していたので、ホッとしました。仕上がりに幻滅しての涙かもしれませんが…。
それにしても、最後の松本穂香さんの無言の演技は、何度観てもグッときます。

文/DVD&動画配信でーた編集部


『酔うと化け物になる父がつらい』
12月2日 DVD発売(4800円+税)・レンタル
発売:よしもとミュージック、バップ
販売:バップ
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