中山忍「令和ガメラが観たいです」と金子修介監督に直談判!ドルビーシネマ版「平成ガメラ」が公開
ガメラ生誕55周年記念プロジェクトの一環として、「平成ガメラ3部作」の第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)が全国7館のドルビーシネマにて期間限定上映。その公開初日を記念して27日、丸の内ピカデリー ドルビーシネマにて初日舞台挨拶が開催。「平成ガメラ3部作」すべてでメガホンをとった金子修介監督を筆頭に、出演者から中山忍と蛍雪次郎、そして撮影監督の木所寛と録音技師の橋本泰夫が登壇した。
1995年の春休み映画として公開された『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、公開から25周年を迎えたいまでも多くのファンから語り継がれるだけでなく、様々なクリエイターに影響を与えた特撮映画史に残る一本。太平洋上で巨大漂流環礁が発見され、九州の姫神島では謎の住民消失事件が発生。調査に訪れた鳥類学者の長峰真弓は、そこで巨大怪鳥を目撃する。一方で、海上保安庁の米森と保険会社の草薙は、環礁上にあった石板の碑文を解読。その結果、環礁はガメラ、怪鳥はギャオスという古代怪獣であることが判明する。
撮影当時22歳だった中山は「ご褒美のような作品。女優として頑張ってきてよかったです」とよろこびを噛みしめると、撮影時の思い出として「ガメラとギャオスを信じる心はあったのですが、実際に想像することは難しかった。とくに福岡ドームにガメラが現れるシーンでは、ガメラがあまりにも大きすぎてサイズ感を想像するのが難しかったと記憶しております」と振り返る。また炎天下のなかで撮影が行われた吊り橋でのシーンで子役の代理として使ったゴム製の人形が溶けてしまったエピソードなどを明かした。
一方、四半世紀経ったいまでも熱烈な支持を集めていることについて聞かれた金子監督は「うれしいの一言です」と微笑み、「ドルビーシネマの映像で忍ちゃんと蛍さんのお芝居の熱量が2倍に感じられました。感無量です」と今回の再上映での見どころを語る。
そして監督として“間違いが少ない作品”だったと自信たっぷりに語った上で「でも鳥類学者なのにギャオスが共喰いしている時に目を背けるのは…」と、25年越しに中山に指摘。「でもあの時監督がOK出したので監督のせいかな、と(笑)」と言い返されると、「反省しています…」と平謝りで会場の笑いを誘った。
また、ドルビーシネマのグレーディング監修を行った木所は「ドルビーシネマにするにあたってレンジが広く、フィルムの時には大丈夫だった弱点が露骨に出てしまうので、かなり細かい色調整が必要となって時間を要しました」と苦労を語ると、「でもフィルムの時には黒く潰してしまうと真っ暗でなにも見えなくなりますが、ドルビーシネマでは黒の中にきちんと見える。なので富士山麓のナイトシーンはかなり見ものになっています。フィルム時代にはやりたくてもできたなかった部分なので、楽しみにして観てください」と最新の技術で蘇った高精細な映像をアピール。
舞台挨拶の最後には、中島や蛍と共に「平成ガメラ3部作」全作品に出演し、草薙浅黄役を演じた藤谷文子からビデオメッセージも上映。
そして登壇者を代表してマイクを取った中山は、先日亡くなった東映グループの岡田裕介会長への思いを涙ぐみながら語ると、「ひとつ私に夢ができました。令和ガメラが観たいです。生身のスーツアクターの人が演じた、生々しいギャオスが出てくるようなガメラに、また蛍さんと一緒に出たいです」と金子監督に呼びかけ、同じように新たなガメラ映画の誕生を期待するファンから大きな拍手が巻き起こった。
取材・文/久保田 和馬