『ウォーキング・デッド』シーズン10前半に隠されたトリビアを解明!
気づかなくても問題ないけど、気づくとちょっとうれしいネタがちょこちょこ仕込まれているのも『ウォーキング・デッド』の楽しいところ。シーズン10前半のこのネタに気がついた?
名作ゾンビ映画へのオマージュ
ゾンビ映画の原点となった名作、ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(68)へのオマージュが、セリフの中にこっそり登場。第1話「境界線」でユージーンとルークが"宇宙からの放射線"について話すのは、この映画でもゾンビ化の原因は放射線かもしれないと示唆されるから。
そして、もうひとつはイタリアン・ホラーの名匠ルチオ・フルチの『サンゲリア』(79)。英語タイトルが『ZOMBIE(ゾンビ)』だったこの作品のオマージュは第2話「終末の始まり」に。VFXスーパーバイザーのアーロン・マクレーンが、囁く者のベータがウォーカーの目を突き刺す場面は、この映画の同様シーンに触発されたものだと語っている。
キャロルにまつわる亡霊が!
キャロルが自分の過去と向かい合う第3話「亡霊」では、タイトルどうり、キャロルの過去の亡霊が続々登場して、これまでのシリーズにリンク。彼女が床から拾い上げたDVDの表紙には、キャロルが愛し、そして失った子供たちとの家族写真。そこに写っているのは、ショートカットだった頃のキャロルと、囁く者に殺された義理の息子ヘンリー、ウォーカーになった実娘ソフィア、シーズン4の悲劇の姉妹リジーとミカ、シーズン5&6のアレクサンドリアでキャロルにお菓子をねだり、最後にはウォーカーに殺された、リックの隣家の幼い息子サム。キャロルの辿ってきた悲痛な過去が思わず甦る。
あの曲の作者はなんと!
第5話「変わらぬ姿、変わりゆく心」でマグナが聞いている曲「カメとサル(The Turtle and the Monkey)」は、なんとシーズン2~5でマギーの妹ベスを演じたエミリー・キニーが作曲&歌唱している曲。彼女はシンガーとしても活躍中なのだ。
ただし、作中に流れる曲を歌っているのは彼女ではなく、歌声は男性のもの。それではこれは誰の声なのかというと、耳ざといファンが気づいたとおり、その正体は囁く者ベータ。なぜベータが歌ってるのか!? その理由はこのシーズンの後半で明らかになる。
子供時代のリディアを演じてるのは…
第2話「終末の始まり」には、囁く者のリーダー、アルファの娘リディアの子供時代と、もっと幼い頃の彼女が登場するが、この子供版リディア2人がそっくり。それもそのはず、実際に姉妹のハヴァナ・ブラムと妹スカーレット・ブラムが演じている。
このシリーズが同じキャラに血縁者を使うのは初めてではなく、キャロルとエゼキエルが育てるヘンリーの幼い頃と成長後も、実際に兄弟の弟マクセン・リンツと兄マット・リンツが演じている。
コニーのセリフにニヤリ
第1話「境界線」でコニーがケリーに聴覚を失うことは、一種のスーパーパワーなのだという話をするが、この言葉を聞いたマーベル映画のファンは思わずニヤリ。コニー役のローレン・リドロフは聴覚に障害をもつが、このエピソード放送時には、すでにマーベルの新作映画「エターナルズ(原題)」で、スーパーヒーロー、マッカリ役を演じることが決定していたのだ。ひょっとしたらそれを意識したセリフかも。
あのエイブラハムが監督に挑戦
このシーズンの第4話「孤独との戦い」と第7話「蘇る記憶」を監督したのは、エイブラハム役のマイケル・カドリッツ。エイブラハムはシーズン4から登場して、ユージーンをワシントンD.C.に連れて行こうとしていた赤毛の元軍人。彼はシーズン9第7話で監督業に進出しているのだ。出演者としてこのドラマをよく知っているから、演出がしやすいのかもしれない。彼の監督としての腕をチェックしてみよう!
文/平沢薫