“怒り”の感情に向き合う機会に…深川麻衣、20代最後の主演映画『おもいで写眞』を語る

インタビュー

“怒り”の感情に向き合う機会に…深川麻衣、20代最後の主演映画『おもいで写眞』を語る

『君に届け』(10)『ユリゴコロ』(17)などの熊澤尚人監督が、主演に深川麻衣を迎え、オリジナル脚本で紡いた映画『おもいで写眞』(公開中)。『パンとバスと2度目のハツコイ』(17)で映画初主演を務め、その後も『愛がなんだ』『空母いぶき』(ともに19)などに出演してきた深川。自身が所属する芸能プロダクション・株式会社テンカラットの25周年企画でもある本作で、主演を務めあげた想い、故郷での思い出までを語ってくれた。

本作で2度目の映画主演となる
本作で2度目の映画主演となる[c]「おもいで写眞」製作委員会

本作は、夢に破れて故郷の富山に帰ってきた音更結子(深川)が、たった一人の家族だった祖母の遺影がピンボケだったことに悔しい想いをしたことから、お年寄りの遺影写真を撮る仕事を引き受けることから始まる。「素敵な思い出のある場所で写真を撮ります」と呼び込みをするや人気企画となった“おもいで写真”を通して、様々な人と触れ合っていく。

――パンとバスと2度目のハツコイ』以来の映画主演作でしたが、本作のお話を聞いた時、どのようなお気持ちでしたか?

深川「所属事務所の25周年記念の作品ということで、すごくありがたい気持ちと、責任や重みもすごく感じました。でも、これだけ多くの先輩役者の方々とご一緒できる機会もあまり無かったので、純粋に楽しみな気持ちもありました。近くでお芝居を見ながら、盗めるところは盗もうと(笑)」

――主演であることに対しての気負いなどはありませんでしたか?

深川「撮影に入る前にいろいろ考えてしまうと、しなくてもいい気疲れをしてしまうので、撮影中はなるべく取り払うようにしていました。撮影中よりも、試写で初めて観たときのほうが実感の重みがありましたね。クレジットで一番最初に名前が出てきて、『ああ、映画が完成したんだな』という想いを、ずしんと感じました」

故郷の富山で“おもいで写真”を撮影する主人公に
故郷の富山で“おもいで写真”を撮影する主人公に[c]「おもいで写眞」製作委員会

――今回、熊澤尚人監督とご一緒してみていかがでしたか?役柄についてのお話もされたのでしょうか?

深川「熊澤監督は本読みの段階から『思っていることはちゃんと言って欲しいし、みんなで作っていこう』というスタンスの方でした。監督の中でも、結子の怒りの感情を大事にしているのが伝わってきましたし、映画全体でも“怒り”に重きを置いているように感じました。常に眉間にシワができるくらいのしかめ面で居てほしいというアドバイスや、結子の“怒り”に対しての演出をいただくことが多かったですね」

――“怒り”にも、様々な温度や形がありますもんね。

深川「自分が脚本を読んで想像していたよりも、監督は更に上の怒りの熱量を求めていたので、そのズレをどう埋めていこうかと考えることはありました。一番難しかったのは、柏葉さん(古谷一行)と一緒に奥さんに会いに行き、お隣の家の人から真実を聞いて、カーっとなって柏葉さんのことを置いて帰るというシーンです。人を置き去りにしてまで帰るというのはすごく大きな感情ですし、自分が思っていたよりも結子の怒りはもっと根深くて、抱えていたものも大きかったのかもしれない…と、考え直す機会でもありました。持っている感情の大きさが同じでも、出し方によって全然変わるんですよね。いままでは感情に対してそういう考え方をする機会があまりなかったので、とても良い経験でした」

取材では純度100%の“聖母”スマイルが健在!
取材では純度100%の“聖母”スマイルが健在!撮影/黒羽政士
作品情報へ

関連作品

  • おもいで写眞

    3.8
    40
    祖母が遺した写真館で遺影撮影の仕事を通して人生の意味を見出していく女性の姿を描く
    Prime Video U-NEXT