“怒り”の感情に向き合う機会に…深川麻衣、20代最後の主演映画『おもいで写眞』を語る
――高良健吾さんや香里奈さんとの共演はいかがでしたか?
深川「お2人とも撮影に入るまでは、ご自身の中でものすごくいろんなことを考えて臨んでいると思うのですが、実際に現場でお会いするとすごくフラットで。今回高良さんとは幼なじみの役だったので、キツイ言い方をしたり叩いたりすることもありましたけど、どしんと構えていてくれていたので、遠慮せずに安心して飛び込んでいくことができました。あと、同じ仕事をしているからか、私がわかりやすいからなのか、香里奈さんも高良さんも、そのときに必要な言葉をくれるんです。背中をドンっと押すわけではなく、ふわっと体が軽くなるような言葉やアドバイスをくれるので、隠し事はできないなと思いました(笑)。そのときの私の気持ちとか、思っていることとか全部ばれているんだろうなと(笑)」
――今作は全編富山ロケだったそうですね。実際に現場に入って、その場所に行ってからイメージが広がることもありましたか?
深川「いつも脚本を読んでイメージを膨らませていくのですが、『どういうシーンになるんだろう?』と考えていたシーンでも、実際にその場に立ってみることで、すんなりできることは多いですね。今回でいうと富山の自然や風景、そして富山の人たちの空気に助けられたところはとても大きくて。地元の方がケータリングを作ってくださって、みんなで温かいご飯を食べることもありましたし、休憩中におばあちゃんが、冷やしトマトを持ってきてくれたこともありました。そういう地元の方とのつながりや、その地域でしか生まれないもの、そこでしか切り取れないものは絶対にあると思っています。今回も、富山でしか撮れなかった空気がたくさん切り取られていると思っているので、そういうところにも注目して観ていただけたらうれしいですね」
――深川さんは静岡出身とのことで、撮影中に地元のことを思い出すこともありましたか?
深川「おばあちゃん元気にしてるかなって、会いたくなりました。地元の友達にも最近会えてないなって思い出しましたね。境遇も近いものがあるので」
――地方出身の方は、結子に自分を重ねながら観てしまいそうですよね。
深川「『おもいで写眞』を観て、最近おじいちゃんやおばあちゃんに会えていないけれど、ちょっと電話でもしてみようかな…とか、人と人とがつながっていくような作品になったら嬉しいです。そして、『私も好きな場所でおもいで写真を撮ってもらおうかな』とか、『好きなものを写真に残してみようかな』と思ってもらえるきっかけの映画になったら、それ以上幸せなことは無いですね」
――それでは最後に、深川さんの“おもいで写真”について教えてください。
深川「一昨年の11月に1人で海外旅行に行った時の写真です。ニューヨークに行ったんですけど、カナダのほうまで足を運び、ナイアガラの滝を観に行きました。その日はすごく雨が降っていて雲っていたので、『キレイに見えないかな…』と思っていたのですが、到着したらすごく晴れていて。虹も出ていたので感動して、フィルムカメラで撮ったのがこの写真です。あと、ニューヨークはいろんな国のいろんな人種の方々が観光や仕事で集まっていて、自分の存在なんて本当にちっぽけなんだなとも思えました。月並みですが、その感覚がすごく楽しくて、いまでも思い出に残っています」
取材・文/矢部さやか