鈴木敏夫プロデューサー、大塚康生が今朝逝去と明かす…TAAF2021授賞式で哀悼の意捧げる
3月12日~15日まで池袋で開催されてきたTAAFこと東京アニメアワードフェスティバル2021の授賞式が、15日にとしま区民センターで開催。アニメ功労賞やコンペティション部門の各賞が発表されたなか、アニメ功労部門顕彰者である鈴木敏夫プロデューサーや富野由悠季監督ら多くの受賞者が登壇した。鈴木プロデューサーは、本日逝去したという「ルパン三世」シリーズなど、数多くの作品で一緒に仕事をしてきたアニメーターでキャラクターデザイナーの大塚康生への哀悼の意を示した。
「僕がアニメに携わったのは1978年5月からで、そのころは『アニメージュ』というアニメーション雑誌にいました。気づいたら実際に製作に関わってから、もう40何年も経っていたことを改めて実感した次第です」としみじみ挨拶。
また「一番お世話になったのが、大塚康生さんですが、今朝、生涯を閉じられたそうで、今日が印象深い日になりました。本当にお世話になりました。ご冥福をお祈りしたいと思います」と、亡き大塚に心から感謝した。
富野監督は「ありがとうございます」と功労賞受賞の喜びをスタッフ陣と分かち合ったあとで「これまで協力してくれたスタッフに言いたいのは、以前ここにあった豊島公会堂で、48年前に、アニメファンが一堂に会したことです」と、富野監督が手掛けた「海のトリトン」のファンクラブイベントについて言及。
「当時15歳くらいだった彼女たち(ファンの方々)が、ここに集まってくれたことで、(アニメ作品を観る)観客がいてくれることを徹底的に教えてくれた。鈴木敏夫さんも知らない場所です。この事例があったからこそ、今日までやってこれました。当時、ここに集まってくれた観客はほとんどが女学生でしたが、本当に感謝したいと思います」と溢れる想いを語った。
イベント後に富野監督を直撃すると「当時、1200人ものアニメファンが集まりました。非常に感慨深かったです」と当時を振り返った。
アニメ功労部門は、鈴木プロデューサー、富野監督のほか、漫画家で作家のさくらももこ(故人)、脚本家の小山高生、アニメーターの才田俊次、編集の瀬山武司、スタジオシンガーの伊集加代、声優の羽佐間道夫が受賞した。
アニメ オブ ザイヤー部門の個人賞では原作・脚本部門で吉田玲子が、監督・演出部門では外崎春雄が、アニメーター部門では松島晃が、美術・色彩・映像部門では渡邊美希子が、音響・パフォーマンス部門では梶浦由記が受賞。
アニメファン賞は「アイドリッシュセブン Second BEAT!」が、作品賞テレビ部門は 「映像研には手を出すな!」が、作品賞劇場映画部門は『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(20)が受賞した。
吉田は原作・脚本部門だけではなく、自身が携わった『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の受賞も喜び「2度の延期を経て公開された作品でしたから、多くのスタッフも喜んでいると思います。このような状況のなか、会場に足を運んでくれた観客のみなさんにも感謝したいと想います」と語った。
コンペティション部門は、豊島区長賞を『ランマニア』が、学生賞を『The Balloon Catcher』が、短編優秀賞を『ショームの大冒険』が、長編優秀賞を『ナウエルと魔法の本』が、短編グランプリを『棺』が、長編優秀賞・グランプリは『ジョセップ』が受賞した。グランプリの2作は東京都知事賞も授与された。
『ジョセップ』は、第二次大戦下の収容所を舞台に、フランス人の看守セルジュとスペイン人の収容者であり画家であるジョセップの戦時下での友情を語った人間ドラマ。本作を手掛けたオーレル監督からはビデオメッセージが届いた。
「一番感動しているのは、この物語が80年前にヨーロッパで起きたことなのに、日本の観客のみなさんを感動させることができたことです。授賞式に参加し、みなさんとお祝いできなかったことが残念です」と語った。
取材・文/山崎伸子