オスカー女優がAmazonで発送業務!?『ノマドランド』F・マクドーマンドの本気の役作りに脱帽
本年度アカデミー賞最有力との呼び声も高い映画『ノマドランド』(3月26日公開)。オスカー女優フランシス・マクドーマンドの絶対的存在感を存分に堪能できる本作より、一般のノマドのなかに完璧に溶け込む彼女の姿を映し出す本編映像が到着した。
マクドーマンド演じる主人公のファーンは、企業の破綻と共に、長年住み慣れたネバダ州の住居をも失う。キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込み、〈現代のノマド=放浪の民〉として、季節労働の現場を渡り歩くファーン。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅が描かれる。
解禁された映像は、ファーンがノマドの友人リンダに誘われて、ノマドたちが集いコミュニケーションを交わすイベント”RTR(Rubber Tramp Rendezvous)”に参加するシーン。アメリカ各地からノマドたちが集まるイベントということもあり、本シーンには大勢のノマドが登場。プロの俳優はマクドーマンドと、デイヴ役のデヴィッド・ストラザーンのみで、他は全員が一般のノマドたち。集団で見ると一見どこにマクドーマンドがいるのかもわからない。完全にノマドのなかへ溶け込んだマクドーマンに驚きを隠せない映像となっている。
マクドーマンドは、ノマドの生き様をリアルに体現するため、役作りのひとつとして、自らノマドの労働に身を投じたそう。「Amazonの発送センターで、赤カブの収穫工場で、観光客向けのカフェで、国立公園のキャンプ指導員として、ファーンである私も、実際に働く人たちに混じりながら、働きました」と様々なエリアで労働に励んだ様子。マクドーマンドがノマドとしてリアルに息づいている姿を目の当たりにした海外評論家からは「マクドーマンドの顔はまるで“動く国立公園”のようだ」との評価も上がっている。
『スリー・ビルボード』(17)に続き、3度目のアカデミー主演女優賞の期待も高まるマクドーマンド本気の役作り。ぜひ、大きなスクリーンで堪能したい。
文/タナカシノブ