助演女優賞受賞のユン・ヨジョン、圧巻のスピーチに拍手喝采!受賞スピーチ全文&受賞後インタビュー
『ミナリ』(公開中)で風変わりな祖母役を演じ、家族のドラマに小さな笑いを与え、種のつながりを感じさせたユン・ヨジョン。韓国の名女優として多くの作品に出演してきた彼女の助演女優賞受賞は、アジア系女優として『サヨナラ』(57)のナンシー梅木に次ぐ2人目、63年ぶりの快挙となった。アメリカ在住経験のあるユン・ヨジョンは、賞レースのキャンペーン序盤から英語でインタビューを受け続け、その度にウィットに富んだ切り返しで人々の心をひとつにまとめあげていった。BAFTA(英国アカデミー賞)で助演女優賞を受賞した際にも、「お高くとまっているとされる英国のみなさんに評価していただけて嬉しいです」と、シニカルな英国人好みのスピーチで話題をさらった。昨年、『パラサイト 半地下の家族』(19)で監督賞に輝いたポン・ジュノ同様、スピーチ力が受賞につながったのだ。
受賞式では、『ミナリ』の製作会社プランBの代表を務めるブラッド・ピットから賞を授かった。ピットは製作総指揮に名を連ねているが、現場を仕切るプロデューサーではないことから、この日が初対面だった。それをジョークに皮肉り、舞台裏で行われた受賞者インタビューで「ブラッド・ピットの匂いは?」と聞くふとどきなレポーターの質問にも、ウィットで返した。これぞまさにユン・ヨジョン節で、映画の中同様、最高で最強なおばあちゃんであることを証明した。下記は、ヨジョンの助演女優賞受賞スピーチ全文。
ユン・ヨジョン 助演女優賞受賞スピーチ全文
ブラッド・ピットさん、初めまして。(オクラホマ州)タルサで撮影している間、どこにいらっしゃったのでしょうか?お会いできてとても光栄です。ご存知のように、私は韓国から来たのですが、実は私の名前はユン・ヨジョンで、ほとんどのヨーロッパの人々は私のことをユン・ヨンと呼び、なかにはユン・ジョンと呼ぶ人もいます。でも、今夜は許してあげましょう。通常、私は世界の向こう側に住んでいて、ただテレビを見ているだけです。オスカーですから。でも、私がここに立っていても、テレビ番組を観ているだけのように感じています。信じられません。私がここにいるなんて。ああ、気を取り直していきます。
私に投票してくださったアカデミー会員のみなさん、本当にありがとうございます。そしてスピーチの順番では、普通は「誰々さん、ありがとうございました」と言うのですが…。素晴らしい 『ミナリ 』ファミリー、スティーブン(・ユァン)、(ハン・)イェリとネイル(・ケイト・チョー)、アラン(・キム)。そして何よりも、何よりも、リー・アイザック・チョン監督。彼がいなければ、私は今夜ここに来ることができませんでした。彼は私たちのキャプテンであり、私のディレクターでした。あなたに感謝します。とても感謝しています。
私は競争を信じていません。どうしたらグレン・クローズに勝てるのか?私は彼女の演技を何度も見てきました。だから、これはノミネートされたすべての人に言えることです。ノミネートされた5人はみんな、異なる映画における受賞者です。違った役を演じているのだから、競争することはできません。今夜、私がここにいるのは、ほんの少しだけ運が良かったからだと思います。もしかしたら、あなたよりも運が良かったからかもしれません。また、韓国の俳優に対するアメリカのおもてなしもあるのかもしれません。よくわかりませんが、とにかく、ありがとうございました。
そして、私が仕事に行くことを許してくれた2人の息子たちにも感謝したいと思います。最愛の息子たちよ、これは母が一生懸命働いた証です。そして、この賞を私の最初の監督であるキム・ギヨン監督に捧げたいと思います。彼はとても天才的な監督でした。私は彼と一緒に映画を作りました、初めての映画です。もし彼が生きていたら、とても喜んでくれると思います。どうもありがとうございました。皆さん、本当にありがとうございました。