本年度アカデミー賞3部門受賞『ノマドランド』圧巻の映像美の撮影裏に迫る特別映像が到着！

第93回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞の3部門を受賞した『ノマドランド』。現在公開中の同作より、撮影現場を映した特別映像が到着した。

本作は、“現代のノマド=放浪の民”として季節労働の現場を渡り歩く女性の日々を追った人間ドラマ。メガホンをとったのは、前作『ザ・ライダー』(17)が第70回カンヌ国際映画祭で絶賛され、本作で自身初にして女性監督としてアカデミー賞監督賞史上2人目となるオスカーを獲得したクロエ・ジャオ。そして『スリー・ビルボード』(17)に続いて本作でもアカデミー賞主演女優賞に輝いたフランシス・マクドーマンドが、企業の破たんとともに長年住み慣れたネバタ州の住居も失った主人公ファーンに扮し、亡き夫との思い出を詰め込んだキャンピングカーに乗り、往く先々で出会うノマドたちと心の交流をしながら誇りを持って自由な旅を続ける姿を描く。

特別映像は、ジャオ監督とこれまでタッグを組んできた撮影監督ジョシュア・ジェームズ・リチャーズが奇跡的な瞬間を追い求めた撮影現場を回想したもので、「人々は『ノマドランド』で従来の映画とは違う、クロエ・ジャオの世界に足を踏み入れる」というリチャーズのコメントから始まる。ファーンがたった一人歩く姿を捉えた印象的なシーンとともにステディカムを使った撮影について「画角が広くなり、風景を見せられる。それでいて主人公の感情に寄り添い続ける」と解説するリチャーズや、4時～7時のマジックアワーの時間帯での撮影をねらって入念に準備するクルーの様子、さらに「短い時間で連携するなかでチームワークが培われていき、最後には１つの生態系のようだった。すばらしい気分よ」と語るジャオ監督の姿が映しだされる。

そして「人生を模索するファーンにカメラはただ寄り添い、その場に立ち会っている」とリアルを追求した撮影を振り返ったリチャーズが、「奇跡の積み重ねのような作品だ」と感無量につぶやくセリフで締められ、マクドーマンドの演技とともに絶賛されている圧巻の映像美の撮影裏に迫る映像となっている。

マクドーマンド、本物のノマド、そしてジャオ監督とリチャーズらたった23人の撮影クルーで紡いだ『ノマドランド』。その日、その日を懸命に乗り越えながら放浪していく現代のノマドたちのリアルな物語を体験し、大自然の厳しくも壮麗な景色を堪能してほしい。

文/足立美由紀