『スパイダーマン』監督が語る“笑えるスリラー”の魅力とは
『スパイダーマン』シリーズで有意義な“寄り道”をしたサム・ライミ監督が、ホラーを撮っていた昔に原点回帰! 満を持して放つ怪作が11月6日(金)公開の『スペル』だ。そこで、監督にいろいろ聞いてみた。
本来怖いはずのスリラーなのに、笑えてしまうという点がまさに“怪作”な本作。製作中は、どんな部分に面白さを感じていたのか? 監督は、「僕らはいつも、呪いというアイデアが気に入っているんだ。ごく普通の人間が呪われ、極限状態に追い込まれたとき、どんなことが起こるのかを想像するのは面白いよ」と話してくれた。よく言われる“恐怖と笑いは紙一重”とはまさにこのこと。
そのようにして起こる出来事が凄まじい。銀行に勤めている主人公(アリソン・ローマン)が、老婆に金を貸し渋ったため呪いをかけられヒドイ目に遭ってしまうのだ。
監督いわく、「何の警告もなく、彼女の普通の生活が異常な世界に取って代わる。車を襲撃されたり、いきなり大量の鼻血が出たり、ひどい白昼夢にさいなまれたり、息つく間もない戦いを強いられるんだ」と、襲われる主人公にとってはまさに悪夢の連続。にもかかわらず、その悪夢は見方を変えると“笑い”に転化する。そこが非常に魅力的なのです。
そして、人々を魅惑する他の要素として、冒頭のタイトルや視覚効果にクラシックなテイストを取り入れた点がまたいい味を出してるんですよ。
「『スペル』には、たくさんの視覚効果があるけど、我々が試したことは、それをコンピュータやCGで描かないことだった。観客にとって本当にリアルに思えるものを作りたかった。観客はとても賢いから、そういった効果がコンピュータで操作されていることはすぐ分かると思う。主人公に起こることを撮影現場で作り出したいと思ったんだ」と、CGに慣れてしまった観客の心理をくみ取った発言。
では具体的にはどのように撮影していったのか? 「我々は物理的な効果を多く採用したんだ。風の効果から、ワイヤー仕掛け、操り人形など、人間主導の機械的効果から派生するさまざまな効果まで、新しい形式の効果とは対照的なものを使った。そういう効果が、まるでその場で起こっているようなリアルさを、観客に与えてくれると思うよ」。ホントおっしゃるとおりです。
タランティーノ監督も最近観た映画(9月時点)で「面白かった!」と即答したという折り紙付きの映画『スペル』。いろんな意味で怖いけど、R指定ではありません。“思いっきり笑って、ちょっと怖がる”っていうのがオススメ。みんなで映画館に集まって、ワーキャー言って楽しもう!【Movie Walker/堀田正幸】