『007』最新作に影響は?Amazonが、映画スタジオMGMを90億ドルで買収へ

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『007』最新作に影響は?Amazonが、映画スタジオMGMを90億ドルで買収へ

世界中に2億人以上のプライムメンバーを有するAmazonが、ハリウッドを代表する老舗映画スタジオのMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)を約90億ドル(約9800億円)で買収するための契約の交渉段階に入っていることが明らかになった。「Variety」が複数の業界筋からの情報として報じている。

誰もが一度は見たことがあるであろう、ライオンのロゴでお馴染みのMGM
誰もが一度は見たことがあるであろう、ライオンのロゴでお馴染みのMGM画像はVariety(@variety)公式Instagramのスクリーンショット

1924年に複数のスタジオが合併し設立したMGMは、『風と共に去りぬ』(39)や『ベン・ハー』(59)をはじめとしたアカデミー賞受賞作や、「トムとジェリー」に代表されるアニメなど、多岐にわたるジャンルで人気作を数多く輩出。しかし1970年代頃から幾度となく経営権が移り変わるなど不安定な状態がつづき、2010年には一度倒産の危機に瀕していた。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた昨年には、スタジオの屋台骨である「007」シリーズの最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年公開予定)が度重なる公開延期を余儀なくされ、資金繰りが再び悪化。同作のストリーミング配信権をめぐってAppleやNetflixと交渉を進めるも決裂し、さらに負債が膨れあがったMGM自体をAppleが買収するという噂も。そして12月には、正式に売却のプロセスを探っていることが報じられることに。


【写真を見る】度重なる公開延期に配信権交渉の決裂、そして製作会社の買収…『007』最新作はどうなる!?
【写真を見る】度重なる公開延期に配信権交渉の決裂、そして製作会社の買収…『007』最新作はどうなる!? 写真:SPLASH/アフロ

今回の報道によれば、MGMが保有する4000本以上の映画と1万7000本以上のテレビ作品という潤沢なライブラリを、プライムビデオ事業のさらなる拡大のきっかけにしたいAmazonが買収に名乗りを上げ、この数週間で着々と調整が進められているとのこと。報道についてAmazonとMGM両社の関係者からのコメントは確認されていない。
もし買収が成立すれば、「007」シリーズをはじめとした今後の作品はもちろん、業界全体の勢力図にも大きな変化がもたらされることになるだろう。注視しながら続報を待ちたい。

文/久保田 和馬

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