佐藤健が選ぶマイベスト剣心の演技とは?『るろうに剣心 最終章』京都凱旋舞台挨拶をレポート
『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』の大ヒットを記念し、7月3日に「剣心、始まりの地へ~おかえり剣心京都凱旋舞台挨拶~」と題したイベントがT・ジョイ京都で開催され、主演の佐藤健と全シリーズのメガホンをとった大友啓史監督が登壇。夏らしく浴衣姿で登場した佐藤は、大友監督と共に京都をはじめ、滋賀、兵庫、奈良、大阪など、関西34か所での撮影エピソードを語り、この模様はライブビューイングで全国の映画館に生配信された。
剣心の始まりの地である京都での凱旋舞台挨拶ということで、佐藤は「ずっと全国を回って舞台挨拶をしたいとは思っていたのですが、なかなか叶わずでした。そんななか、京都は『るろうに剣心』始まりの場所で、僕たちの第二のふるさとと言っても過言ではないくらいお世話になった場所で、なんとしてでも舞台挨拶をしたいという想いもあったので、本日来ることができてとても幸せに思っています」と、笑顔で挨拶。
舞台上には七夕の短冊が飾られるなか、浴衣についてのコメントを求められた佐藤は「しっくりきますね。昔は和服を着ると怖気づくような感覚があったのですが、『るろうに剣心』を通じて逆に落ち着く感じがするようになりました」と爽やかに答え、会場を沸かせた。
大友監督も「和服がずばらしいので、次はこれで撮りたいね」と佐藤の姿を見ながらも、「京都は、始まりの地なんですよ。漫画原作アニメ原作の作品を、地に足のついた実写作品にすると考えた時、最初に決断したのが京都で撮影するということでした。京都ロケをすることで、あの時代のリアリティなどを作品に入れることができるのではないか、という大きな判断をしました」と当時を振り返った。
「るろうに剣心」シリーズは、関西エリアでのロケも数多く、シリーズ全5作を通じて、関西では全34か所、総撮影日数は半年間の撮影であったことが紹介された。
佐藤は「滋賀県などの撮影の時も、京都を拠点に撮影をしていました。パート1の時は家に帰らず京都のホテルにずっと泊まって、そこからいろいろなところに行き撮影をしていました。今回もそういう時期もありましたね」とシリーズのハードな撮影を振り返ると、監督も「全国を巡業するサーカス団ですよ」と笑顔で返した。
また、1作目から今作までを振り返りながら、佐藤は「当時は、青木崇高さんや蒼井優さん、香川照之さんと京都の街をぶらついてご飯を食べたりしていましたが、何不自由なかったですね。でも2作目3作目、そして最終章の時はほとんどご飯に行ったりはしていないですね。パート1のとき毎日のようにご飯に行っていたのかが不思議で」とシリーズ10年間の撮影時のエピソードを明かし、シリーズを追うごとに進化し続けてきた撮影のハードさを感じさせる裏話も明かされた。
この日は、佐藤たっての希望で事前にTwitterにてファンの皆さんからの質問を募集。舞台上で佐藤と監督が様々な質問に答えた。
「健さん、10年前の自分の撮影初日の映像をそのまま使う、というプランを聞いた時の気持ちを教えてください」という質問に佐藤は「非常に自然なことだと思いました。そりゃそうだろうなと。やっぱり『The Beginning』は新時代を切り開くために戦う真っ直ぐな剣心の生き様を描いているんだとしたら、新時代が来た瞬間がクライマックスに来るべきだろうと。ここまで綺麗にパート1の冒頭にちゃんとつながるんだと驚きました。編集の仕方含め大友監督はさすがだなと思いましたね」と感心したとか。
監督は「あのシーンはパート1の撮影の初日ですからね。10年かけて撮るシリーズの冒頭をあのシーンで撮れて、最後の作品をあのシーンで終わるっていうのは奇跡だよね。今回の作品のタイトルも『The Beginning』ですし、一作目の主題歌も『The Beginning』。本当に綺麗につながっているよなと。奇跡の男だよ」と佐藤を称えると、会場からは拍手が沸き起こった。
また「七夕と言えば……健さんにとっての”織姫”はいますか?」という突拍子もない質問に、佐藤は驚きつつも「1年に1度とはないけど、本当は会いたいけどなかなか会えない、たまに会える存在はやっぱり、剣心かな」と、10年間剣心を演じてきた佐藤ならではの回答が飛び出した。
「剣心が最初に巴の日記を読む時、開いてる日付けが三月廿一日(3月21日)で、健さんのお誕生日だったんですが、あれは偶然ですか?それとも隠しサプライズですか?」という質問に、佐藤は「全く気づきませんでした。お客さんはそういうところも見てるんですね」と驚きつつも、笑顔を見せた。大友監督は「どこのページをめくるかはお任せだから、上手いこと開いたんだと思いますよ」と、そのことは偶然が呼んだ奇跡であると明かした。
また「マイベスト剣心(演技)を選ぶならどのシーンですか?」という質問について、佐藤と監督が共に選んだシーンは、剣心が『The Beginning』の終盤で「行ってくるよ、巴」と言い残し、共に暮らした家を去るシーンだった。
このシーンには監督も大きく頷き、共感を示した。佐藤は「このシーンの撮影はすごく覚えてます。感情を表に表して涙を流すなど、いろんな演技プランがあるなかで、あのシーンは全く気負いがなかったんですよね。今まで演じてきた剣心という役に対するに信頼と自信があったので、絶対に大丈夫だと思っていました。こういう芝居をしたいとう欲のようなものを一切排除できていたのを覚えていて、その時思ったように演じました」と、撮影当時を振り返ると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
壇上の短冊には、この日のためにInstagramで募集したファンの皆さんからの願いが書かれていたが、佐藤と監督も願い事を書いた短冊を披露。佐藤は「剣心の十字傷が癒えますように」と願うと、会場からは熱い拍手が。監督は「眼に映る人々の幸せ!」と劇中の剣心のセリフを引用。そして2人は「剣心に幸せになってほしい!」と締めた。
最後に、監督は「10年間応援していただきありがとうございます。末永く、1日でも長く、一回でも多く映画館で上映していただいて多くの方に、作品の心が、剣心の生き方というのが、届けばいいかなと思っております」とコメント。
続いて佐藤が「我々にとって、とても大切な京都に来れたことを非常にうれしく思っております。さっき僕たちが『剣心に幸せになってほしい』という話をしましたけど、剣心自身もそして我々も皆さまの幸せを非常に願っております。こういった辛い状況ではありますが、希望を見出して、前向きに、幸せに皆さん過ごしていってほしいなと願っております」とそれぞれ挨拶し、京都凱旋舞台挨拶は大盛況のうちに幕を閉じた。
文/山崎伸子