イケメンすぎるキンコングの佇まいは「ワンダと巨像」がモデル!

インタビュー

イケメンすぎるキンコングの佇まいは「ワンダと巨像」がモデル!

体長31.6メートルものキングコングが大暴れする『キングコング:髑髏島の巨神』(3月25日公開)。怪獣映画や「新世紀エヴァンゲリオン」、ジブリ作品の大ファンで、“オタク”と自称するジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督の打ち出したモンスター映画は、興奮&アドレナリン放出シーンの連続。「僕が触れてきた大好きな文化をドビャー!っと詰め込んだんだ」と楽しそうに話すロバーツ監督に、イケメンすぎるキングコングの佇まいに込めた思いを聞いた。

本作は1973年を舞台に、未知生命体の存在を確認するため、太平洋の孤島“スカル・アイランド(髑髏島)”に足を踏み入れた調査隊のサバイバル劇を描くアクション・アドベンチャー映画。冒頭から超巨大なコングが登場して観客の目を釘付けにするが、私たち日本人にとってさらにワクワクとするのがジャパン・カルチャーへの愛とオマージュだ。

MIYAVI扮する日本人パイロットは“グンペイ・イカリ”との名前だが、この由来は任天堂で数々のヒット作を生み出した開発者・横井軍平と、「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇シンジから来ているもの。そして「巨大なゴリラではなく、“孤独な巨神”として描きたかった」という哀愁と頼もしさあふれるキングコングの佇まいには、上田文人が手がけた名作ゲーム「ワンダと巨像」からの影響があるとロバーツ監督は話す。

「今回のコングは、“孤独な巨神”として描きたかったんだ。彼の原動力となるのは抱え込んだ“怒り“だけれど、その行動もとても人間性があるものにしたかった。コングの動きには、高潔さや気高さ、力強さが感じられるよう心がけたよ。島の王であるというプライド、そしてひとさじの悲しさがあるようなね。その悲しさは、『ワンダと巨像』というゲームから影響を受けている。その動きは非常にのそのそとしていて、ゆっくり。そこに物悲しさが感じられるんだ」。

全編クライマックスといっても決して過言ではない本作だが、その興奮が最高潮に達するのがコングと、ラスボスとも言えるコングの宿敵“スカル・クローラー”の激突シーンだ。プロレスさながらの戦いは手に汗握ること必至だが、このシーンにはどんな思いが込められているのだろう?

「昔だったら怪獣映画のようなオタク文化はメインカルチャーではなかったら、怪獣同士が戦うだけで、『すげぇ!』となったと思う。でも今の時代、巨体同士が対決するだけでは十分ではないよね。みんな色々なものを観てきているからね。何か違うアプローチをしなければいけないと思った。そこで僕は、コングや登場人物たちに共感できる要素がないといけないと思ったんだ」。

「共感できる要素」は、コングの様々な戦い方にも表れていると続ける。「コングが木の枝をとる瞬間は、刀をさやから抜くように。ヘリのプロペラを武器にするところも知性が感じられる。そうやってコングには戦略と考えがあって、バトルにも人となりがわかるように設定したんだ」。

さらにヘビに似た姿で、骸骨のような顔をしたスカル・クローラーは、「『エヴァンゲリオン』の使徒や『千と千尋の神隠し』のカオナシを彷彿とさせるもの」とここにもジャパン・カルチャーの影響が。「コングとスカル・クローラーの戦いは、エヴァの戦いのようなもの。非常に俊敏でスタイリッシュなものになっているよ。こういった動きはモーション・キャプチャーではなし得ないものなんだ。今回はILM社のアニメーターたちが視覚効果を手がけてくれた。CGアニメーションでやったんだ。そういった意味でも今回の映画は、よりアニメ寄り、ゲーム寄りの映画になっていると思う」。

若干32歳の新人にして、驚くべきダイナミックな映画を作り上げたロバーツ監督。「とにかく観客がこれまでに観たことがないものを作りたかったんだ。31.6メートルもある巨体がヘリをぶっ潰す映画も、ベトナム戦争の兵士たちが骨の墓場で戦う映画も観たことがないだろう?『こんな子供に、数百万ドル与えるとこんなものが出来上がります』という映画だと思う(笑)。僕が子供時代に触れた大好きな文化をドビャーっと、ゲロを吐くように全部入れ込んだんだ」。

キラキラと瞳を輝かして話す監督は、まさに少年そのもの。「好き」という情熱こそ、妥協なきアドレナリン全開の映画を作り上げる最大のエッセンス。大スクリーンでとくと堪能してほしい!【取材・文/成田おり枝】

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