「人の役に立つことがしたい」期待の俳優、城桧吏が初主演作『都会のトム&ソーヤ』で見せた成長

インタビュー

「人の役に立つことがしたい」期待の俳優、城桧吏が初主演作『都会のトム&ソーヤ』で見せた成長

『万引き家族』(18)で一躍脚光を浴び、『約束のネバーランド』(20)、『HOKUSAI』(20)などへの出演で、俳優として着実にキャリアを積み重ねている城桧吏。このたび『都会のトム&ソーヤ』(公開中)で記念すべき初主演を果たした。本作では、同世代の酒井大地や豊嶋花をはじめ、中川大志や市原隼人ら先輩俳優たちとも共演。大きなプレッシャーのなか、役者としてはもちろんのこと、心身共に成長できた作品となったようだ。「シアターカルチャーマガジンT.(ティー)」未掲載カットと共にインタビューをお届けする。

本作は、シリーズ累計発行部数200万部を突破した、はやみねかおるの推理小説シリーズが原作。ごく普通の中学生だが類稀なるサバイバル能力を持つ内藤内人(城桧吏)と、御曹司で学校一の秀才である竜王創也(酒井大地)が、天才ゲームクリエイター集団“栗井栄太”が仕掛けるリアルRPG“エリアZ”に挑む、青春アドベンチャーだ。

「小学生の時に読んだ作品に出演できることにわくわくしました」

――初めての主演作ということで、お話を聞いた時の率直な感想を教えてください。

「責任の重さから緊張と不安がありました。原作は小学生の時に図書室で読んだことがあったので、お話をいただいた時はびっくりしました。どんなストーリーか事前にわかっていたこともあり『どうやって撮影するんだろう』といろいろ想像したりして…。不安もありましたが、脚本を読んでわくわくしたので、すごく楽しみでもありました。実際にサバイバル指導を受けて、歩き方やまわりの見方、体の動かし方など、生き抜くために必要なことをいろいろ学んでから、撮影に挑みました」

紫陽花と共に夏らしくさわやかな一枚
紫陽花と共に夏らしくさわやかな一枚撮影/稲垣雄治 スタイリスト:伊藤省吾(sitor)ヘアメイク:松原 美穂(Nestation)


――内人とご自身で似ている部分はありますか?

「元気で明るいところは、学校にいる時の自分と似ている部分だなと思いました。でも僕が内人だったら、ゲーム内であんなに上手に立ち回れないし、きっとすぐに捕まってます(笑)。内人はピンチの時でも頼りになる、とてもかっこいい主人公です」

――撮影ではアクションシーンが多かったですが、大変だったことはありますか?

「昔から体を動かすことが好きだったので、アクションは楽しかったです。そのなかで、襲われて頭を打って失神するシーンがあったのですが、まわりの人からすごく褒められたんです。自分でも『うまくできたかも!』と自信があったのですが、実際に映画を観たらカットされてたんですよ(笑)。ちょっと残念でした」

【写真を見る】声変わりもして、成長真っただなかの城桧吏。ここ1年でぐっと身長が伸び、大人っぽい雰囲気に
【写真を見る】声変わりもして、成長真っただなかの城桧吏。ここ1年でぐっと身長が伸び、大人っぽい雰囲気に撮影/稲垣雄治

――同世代の役者さんとの共演はいかがでしたか?

「共演シーンが多いこともあり、基本的には大地と2人でいることが多かったです。大地はBTSの『Dynamite』が好きで、2人で空き時間に踊ったりしていました(笑)。それを花が動画で撮って、見ながらみんなで笑ったりして、わきあいあいとした楽しい現場でした。大地とは同じ事務所で、第一印象はおとなしめで大人っぽい人かなと思っていたけど、話してみたら元気でおもしろくて、みんなを笑わせてくれるムードメーカーでした。撮影を通して、一緒に踊れるくらい仲良くなれたのでうれしいです」

相棒である創也役の酒井大地、同級生役の豊嶋花と
相棒である創也役の酒井大地、同級生役の豊嶋花と[c]2021マチトム製作委員会

――相棒である創也の秘密の場所「砦」は素敵でしたね。

「すごかったですね…。創也はゲームを作っているので、砦の中にもいろんなゲーム案が散らばっているんですけど、壁に貼ってある付箋の一枚一枚にも文字がびっしり書き込まれていたり、細かい部分まで作り込まれていて感動しました。砦は原作でもごく一部しか描かれていなかったので、どんなふうに再現されているのか楽しみでしたが、想像以上だったのでわくわくしました!」

こちらが創也の砦。隅々まで見たくなる!
こちらが創也の砦。隅々まで見たくなる![c]2021マチトム製作委員会

「市原さんの存在感のある演技に圧倒されました」

――市原隼人さんら先輩方との共演はいかがでしたか?

「緊張しました。特に栗井栄太の部屋のシーンで、神宮寺(市原隼人)に創也が顔をグッと掴まれるところがあるんですけど、そこは台本に書いてなくて。僕はそのシーンを後ろで見ていて、いきなりのアドリブが入ってきたのでびっくりしました。そこでより緊張感も高まって、大地もビビって『どうしよう』って慌てていて(笑)。市原さん演じる神宮寺の、存在感のある演技に圧倒されました」

市原&酒井の緊張感あるこちらのシーンは、アドリブだったという
市原&酒井の緊張感あるこちらのシーンは、アドリブだったという[c]2021マチトム製作委員会

――創也のボディーガード役の中川大志さんとは、なにかやりとりをされましたか?

「中川さんのアクションシーンが素敵だったので、休憩時間に大地と真似して練習していました。実際にお会いした中川さんは本当にかっこよかったです。役のイメージもあって、最初は怖い印象もあったのですが、ある時『これ食べる?』ってお菓子をくれて、とても優しかったです(笑)」

創也のボディガード役を演じた中川大志
創也のボディガード役を演じた中川大志[c]2021マチトム製作委員会

――いままさに成長期かと思いますが、撮影中にその影響を感じることはありましたか?

「最初に撮影を始めたのが中学1年生の時だったのですが、コロナの影響で延期になり、空いてしまったその間に成長して…。撮影が再開した時は、アクション部の方から『でっかくなったなー』って言われました。声変わりもあり、自分の声になかなか慣れなかったです。いままで自分の高い声を聞いていたのに、それがいきなり低くなって、いま自分がなにを喋っているのかまったくわからない状況になることもありました」

――俳優に限らず、今後やってみたいことはありますか?

「人の役に立つことがしたいです。今回ご一緒したなかに、人命救助の資格を持っている方がいて、とても素敵だなと思いました。僕もいつかそういう資格を取りたいなと思っています」

初主演を経験し、心身共に成長過程の真っただなかの城桧吏。今後の活躍が楽しみな俳優だ。

取材・文/編集部

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