小松菜奈、『ムーンライト・シャドウ』で原作者、吉本ばななからの太鼓判に喜び「一生懸命やってきて良かった」

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小松菜奈、『ムーンライト・シャドウ』で原作者、吉本ばななからの太鼓判に喜び「一生懸命やってきて良かった」

吉本ばなな著「キッチン」に収録された短編小説を映画化した『ムーンライト・シャドウ』(9月10日公開)の完成報告会見イベントが、9月1日に京王プラザホテルで開催され、小松菜奈、宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナ、原作者の小説家、吉本ばななが登壇。サプライズゲストとして、エドモンド・ヨウ監督がリモートで参加した。

『ムーンライト・シャドウ』は、恋人の等(宮沢)の突然過ぎる死に向き合えず、深い哀しみに打ちひしがれる主人公のさつき(小松)が、「満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない」という“月影現象”に導かれていくという物語。原作のファンだったというマレーシア出身のエドモンド・ヨウ監督がメガホンをとった。吉本は原作について「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と位置づけている。

主人公さつき役の小松菜奈
主人公さつき役の小松菜奈

主人公の繊細な心のあやを体現した小松は「撮影をしているなかで、すごく孤独な時間がありました」と語りつつ「やっとみんなと再会できた時のうれしさや、今日こうしてみんなと顔を合わせて対面できる喜びを改めて感じております。エドモンド・ヨウ監督は、ここに居ることができなかったんですけど、私たちがこの作品の想いを伝えられたらいいなと思います」と挨拶した。

原作者の吉本は映画化について「宝物のような出来事というか、還暦前のご褒美というか、本当にいい映画ができたなと。ロックダウンなど、いろんなことがありながらも、なんとか撮り終えられたことに、心から感謝しています」と感無量の様子だった。


また、吉本は小松の印象について「小説では頭の中の世界の人たちなので、結局、想いだけを描く形になっているのですが、小松さんがさつき役をやってくださったことで、(さつきの)若い肉体が、(恋人の)若い肉体の温もりを失ったんだってことが、すごく伝わってきて、こういうことを書きたかったんだなあっていうのを思い出せました」としみじみ語った。

小松は吉本と共に、試写を観たそうで「緊張感に押しつぶされそうでした」と振り返りつつ、出来栄えをほめられたことについて「生みの親である吉本さんや皆さんに、すごい良かったと喜んでもらえて、本当に幸せですし、一生懸命やってきて良かったなと思いました」と喜んだ。

原作者の吉本ばなな
原作者の吉本ばなな

その後、サプライズで、エドモンド・ヨウ監督がリモートで登場。今回の映画について「僕が『ムーンライト・シャドウ』を初めて読んだのは22歳のころで、吉本先生も22歳のころにこの作品を描いたとうかがっております。もう10年以上も前ですが、いま考えると、それを映画化するということは、とても奇跡のようなことだと感じています」とあふれる想いを口にした。

また、宮沢は「いま世の中がコロナウイルスなので、辛い想いをされていると思います。さつきや柊が愛する人を亡くしたように、皆さんも、なにかをなくしたのではないかと。それは愛する人かもしれないし、仕事を休むことかもしれないし。いまは、気持ち的にダウンになっていると思いますが、ぜひこの映画を観て、少しの希望を持っていただけるとうれしいです」とコメント。

さつきの恋人、等役の宮沢氷魚
さつきの恋人、等役の宮沢氷魚

小松も最後に「私がこの作品の好きなところは、過剰に描いてないところです。内面の感情だったり、秘めているものを、エドモンド・ヨウ監督がすごく美しく、儚く描いています。いろいろと失ったけど、この映画を観たら、自分なりの1歩でいいんだなと、背中を押してもらえたような感覚になれるのではないかと。どうぞよろしくお願いします」と締めくくった。

取材・文/山崎伸子

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