PFFスカラシップ最新作『裸足で鳴らしてみせろ』がお披露目!工藤梨穂監督「すごい芝居を見せてもらえた」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
PFFスカラシップ最新作『裸足で鳴らしてみせろ』がお披露目!工藤梨穂監督「すごい芝居を見せてもらえた」

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PFFスカラシップ最新作『裸足で鳴らしてみせろ』がお披露目!工藤梨穂監督「すごい芝居を見せてもらえた」

第43回ぴあフィルムフェスティバルが9月11日に開幕。オープニング上映としてPFFスカラシップ最新作『裸足で鳴らしてみせろ』の完成披露上映会が国立映画アーカイブで行われ、工藤梨穂監督、佐々木詩音、諏訪珠理、伊藤歌歩が登壇。それぞれが本作への熱い想いを口にした。

PFFスカラシップは、PFFアワードの受賞監督からオリジナル企画を募り、毎年1名を選出するもの。PFFが企画、製作、劇場公開までをトータルにプロデュースし、これまで李相日監督や荻上直子監督、石井裕也監督などの商業映画デビュー作を世に送りだしてきた。第27回PFFスカラシップの権利を獲得したのは、「PFFアワード2018」グランプリ『オーファンズ・ブルース』の工藤監督。『裸足で鳴らしてみせろ』では、盲目の養母のために“世界の音”を届けようとする2人の青年の切ない関係を丁寧に紡いだ。

【写真を見る】第27回PFFスカラシップの権利を獲得した、工藤梨穂監督
【写真を見る】第27回PFFスカラシップの権利を獲得した、工藤梨穂監督

次第に惹かれあっていく青年、ナオミ(佐々木)とマキ(諏訪)の姿を捉えた本作。工藤監督は「いまを逃したら今後、明日だとしても、絶対に撮れないものだった。大袈裟かもしれないけれど、このためにいままでの人生があったんじゃないかって思うくらい。すごい芝居を2人には見せてもらえた」と主演の佐々木と諏訪に感謝しきり。司会を務めたPFFディレクター荒木啓子が「20年後の2人の計画もしておいてください」と背中を押すと、工藤監督は「『2』ですかね。2人は40歳ぐらいになりますか?」と楽しそうに笑いつつ、「(劇中の)彼らの人生は続いていくけれど、どんなふうに生きて死んでいくのか、観てもらった人たちの脳裏で生きてくれていたらいいなと思います」と願いを込めていた。

ナオミとマキの関係を通して、「矛盾を描きたかった」という工藤監督。ラストシーンのイメージが思い浮かんだ瞬間に「これだ!」と思ったそうで、「強烈にこの映像を共有したいと思った。ラストシーンから物語を考えていった」という。心待ちにしていたお披露目の日を迎え、「本作の現場で、映画を撮ることも恐ろしいことだと感じたけれど、観てもらうことも同じくらい恐ろしいことだと思った。こうして観てくださって、トークも聞いてくださって、本当にうれしいです。ありがとうございました」と感無量の面持ちを見せていた。


『裸足で鳴らしてみせろ』の完成披露上映会に登壇した佐々木詩音
『裸足で鳴らしてみせろ』の完成披露上映会に登壇した佐々木詩音

また激しい格闘シーンにも挑み、登場人物の濃密な日々を演じきった佐々木と諏訪だが、撮影後には「ロスになってしまった」「燃え尽きたような感覚になった」と2人共が口を揃える。佐々木は「出演することを決めてから、プレッシャーがあった。撮影前には『自分でいいんだろうか』という気持ちがずっとあった。でも本作で、いままでに感じたことのない感覚を味わい、初めて、自分とは別のもう一つの人生を生みだした気がしている。燃え尽きたと思っていたけれど、今日こうやって観ていただいて、この映画がいろいろな人に届くようにすることは自分の責任だなと感じています」と語る。

『裸足で鳴らしてみせろ』の完成披露上映会の様子
『裸足で鳴らしてみせろ』の完成披露上映会の様子

諏訪も「マキとして、ナオミと生きた時間は本当に幸せで大切。今日観てもらえて、信じられないくらい感動しています」と胸を熱くし、「初めて、こんなにも役柄の人生が自分に焼きついた」と告白。「この前、電車に乗っていたらナオミと同じ匂いがする人がいて、ドキドキしてしまった(笑)。それくらい濃厚な時間を過ごさせてもらいました。こうして観客の皆さんと共有できて、忘れられない1日になった」と話すと、会場からは登壇者陣に惜しみない拍手が送られていた。

第43回ぴあフィルムフェスティバルは、9月25日(日)まで国立映画アーカイブで開催。

取材・文/成田おり枝

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