『アイアンマン』から登場していた!MCUで描かれた“テン・リングス”のこれまで
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の25作目として公開された『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(公開中)。MCUにとって久々となる新たなヒーローを主人公にした本作は、家族についての物語であるため、これまでのMCU作品とのつながりがあまり強くない作品だ。
とはいえ、あらかじめ抑えておきたいのが、タイトルにも含まれている“テン・リングス”。過去作にも登場してきたこのテン・リングスとはなんなのか?ここでおさらいしていこう。
MCU1作目『アイアンマン』から登場していた!
まずテン・リングスとはズバリ、悪の組織のこと。この組織が初めて登場した作品を振り返ると、MCU1作目の『アイアンマン』(08)まで遡ることになる。米軍に対して兵器をプレゼンするためアフガニスタンに足を運んだトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)が、テロリストにさらわれてしまう冒頭のシーン。襲撃をかけてトニーを拉致し、新兵器の開発を迫るテロリストたちがテン・リングスであり、アイアンマン誕生のきっかけを生んだという意味でも重要な集団だ。
トニーが命からがら逃げだしたあとも、テン・リングスは内通者の存在を通してスターク・インダストリーズに武器を横流しさせ、テロ活動を展開。しかし、アイアンマンによって壊滅的な状況に追いやられると、内通者の裏切りによって、アジトにいた者たちは皆殺しにされてしまった。
ただしこれはアフガニスタン支部の話で、『シャン・チー』の冒頭でも語られるように、テン・リングスは世界中の至るところで暗躍。例えば『アイアンマン2』(10)では、アイアンマンに復讐を誓うロシアの科学者ヴァンコ(ミッキー・ローク)がモナコに行くための偽パスポートを手引きする男がテン・リングスの構成員だった。
そしてその後、さらにテン・リングスが物語に大きく絡んできたのが『アイアンマン3』(13)。テン・リングスはアメリカ国内で連続爆破を行っては、組織のトップであるマンダリンが電波ジャックによって犯行声明を出すというテロ行為で世の中に混乱を与えていく。しかしこの一連の犯行は、実はテン・リングスによるものではなく、スタークに恨みを持つ科学者キリアン(ガイ・ピアース)によるもの。マンダリンもキリアンに雇われたトレヴァー・スラッタリー(ベン・キングズレー)という舞台俳優であり、フェイクだった。
このトレヴァーはその後、刑務所で人気者として悪くない暮らしを送り、彼がドキュメンタリーの取材に答えていくという内容の短編『王は俺だ』で主人公として登場。しかしこの取材者が実はテン・リングスの構成員であり、彼によってトレヴァーが刑務所から連れ去られるという展開で幕を閉じた。
『シャン・チー』の父が1000年以上前から率いてきた!
これら以外にも『アントマン』(15)では、ヴィランのダレン・クロスが開発したイエロージャケットの発表会にテン・リングスのタトゥーが入った男が訪れていたりと、あくまで暗躍がほのめかされる程度の扱いだったが、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でついに組織にスポットが当てられていく。
サンフランシスコで、ホテルの駐車場係として働いているショーン(シム・リウ)。平凡ながら親友ケイティ(オークワフィナ)とともに楽しく暮らしていたある日、バスでの通勤中に謎の組織から命をねらわれてしまう。自分の本当の名前がシャン・チーであり、父マンダリン(トニー・レオン)が率いる悪の組織テン・リングスで殺人マシーンとして育て上げられるも、そこから逃げ出した過去をケイティに打ち明けた彼は、悪に染まった父に立ち向かうことになる。
テン・リングスは、その名の通り、マンダリンが手にした無限の力を秘めた10個の輪に由来しており、その力を武器に組織は勢力を拡大。1000年以上にわたって様々な歴史の裏側で暗躍してきたという背景が、映画では語られていく。マンダリンの両腕に5個ずつはめられている輪っかが手から放たれてブーメランのように戻ってきたり、輪っかを地面に放った勢いを利用して空高く跳んだりと、武器としてのテン・リングスの特徴を活かしたこれまでのシリーズで見られなかったようなアクションも本作の大きな魅力となっている。
さらに『王は俺だ』でテン・リングスに連れて行かれたトレヴァーも登場しており、その後の彼がどのような日々を送っていたのかが明かされるとともに、物語の展開上でも重要な役割を担っている。
シャン・チーは果たして父に打ち勝ち、テン・リングスを滅ぼすことができるのか?世界中に勢力を拡大した悪の組織の行く末は、ぜひ劇場で確認してほしい!
文/サンクレイオ翼