伊藤万理華が語る、映画の未来と覚悟「自分は残し続ける役目なんだと思った」
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言、まん延防止重点対応の映画館休業・時短営業要請により、十分な配給や興行ができなかった映画を集めて再上映する「COME BACK映画祭ーコロナ禍で影響を受けた映画たちー」が、池袋のMixalive TOKYO地下2階にあるHall Mixaで開催中だ。12月11日には映画『サマーフィルムにのって』の舞台挨拶に主演の伊藤万理華が登壇。本作を通して実感した映画の未来、映画の力について語った。
本作は、元乃木坂46の伊藤が時代劇オタクの高校3年生、ハダシ役を演じた青春映画。映画部で自分が望む時代劇を作れずにくすぶっていたハダシが、武士役にぴったりの凛太郎(金子大地)と出会ったことをきっかけに、個性的な仲間と共に映画制作に乗りだす姿を描く。リピーターの姿も多く見受けられ、なかには「55回観た」という人もいるなど本作を愛してやまない人々が駆けつけたこの日。伊藤は「そこまで愛されてびっくりします」とにっこり。「(公開から)半年くらい経って、寒い冬にも公開されている。映画の上映が難しかったり、こういう状況になってしまっているのに、粘りきって『サマーフィルムにのって』が頑張っていると思ったら、未来は明るいなと思う」と観客を前に喜びをかみ締めていた。
演じたハダシと自身との共通点を聞かれると、伊藤は「性格や行動、口調は違うけれど、考え方や突拍子もない感じですぐに動いちゃうところや、好奇心がすごいところは一番共通しているかなと思います」と告白。「好きだとか、興味があると思ったら、その先になにが起こるか、後先は考えずに動くところは私もそうだなと思います。結果はどうあれ、とりあえずぶつかってみる」とがむしゃらな性格を明かしていた。
公開時の舞台挨拶ではほかのキャスト陣の口から、伊藤が現場のムードメーカーだったと明かされることもあった。伊藤は「この作品だからというのはあります」と口火を切り、「みんなのことが知りたいなと思ったのもあります。なるべくずっと話すようにしていました。みんなが仲良くなっている、その延長を撮ってもらうのが(本作では)正解。みんながその気持ちでいた。一人でもそういう気持ちがなかったらできなかった」と最高のチームワークが育めたという。
「一生ないと思えるくらい奇跡的。こんなキャストとスタッフが集まってできることってない」と充実の表情を見せ、楽しさを原動力に映画づくりに挑めたことに「お仕事を全部そのテンションでやれたら理想。この作品は“みんなで作るものだ”という想いがあったからできた」と話していた。
緊急事態宣言の影響を受けて、撮影が中断したこともあった。撮影が再開する時には、「女子4人で温泉に入って、しゃべりました」とのこと。「なにも話さないまま始まるのは嫌だなと思った。この3か月、どうだった?どんな気持ちで挑めばいいんだろうね、と話した」と気持ちを確かめ合い、撮影休止の3か月間も「同じ気持ちでいた」ことがわかったという。困難を乗り越えて劇場公開が叶った際には、「(新宿)武蔵野館に観に行きました」とお忍び鑑賞もしたという伊藤。周囲にはバレなかったそうで、「一番後ろの席で観て、お客さんもいて、スクリーンもあってという状況に感動しました」とうれしそうに語っていた。
最後には、映画の未来について想いを巡らせるひと幕も。伊藤は「ハダシのように映画が好きな人、映画を観て救われる人はたくさんいる。昔の作品、新しい作品、短い作品でも、きっと救われる人がいる。映画を撮り続ければ残っていくし、残すことをやり続けたらきっと大丈夫。私はこの作品を通して、自分は残し続ける役目なんだと思った。思っていることや作品を形に残して、共有していくことは、未来につながることだと思っています」と心を込めていた。
取材・文/成田おり枝
■開催期間 2021年12月4日~2021年12月19日(日)
■開催会場 Hall Mixa(Mixalive TOKYO地下2階)
■会場席数 144席
■販売価格 全作品700円(税込)/全席自由席
■販売場所
【インターネット】ローチケWEB https://l-tike.com/comeback-movie-festival
【コンビニ】ローソン・ミニストップ店舗内のLoppi
【当日券】各回20 枚限定/各公演開場時刻より、会場Hall Mixa 受付にて販売
※当日券は諸般の事情により販売しない場合がございます。ご了承ください。
※未就学児のお客様はご入場できません。ご了承ください。
【公式サイト】https://comeback-movie-festival.jp