大友啓史監督が明かす、コロナ禍で変化した『るろうに剣心 最終章 The Final』の“音”。新田真剣佑のアクション力に驚きも
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言、まん延防止重点対応の映画館休業・時短営業要請により、十分な配給や興行ができなかった映画を集めて再上映する「COME BACK映画祭ーコロナ禍で影響を受けた映画たちー」が、池袋のMixalive TOKYO地下2階にあるHall Mixaで開催中だ。12月14日には『るろうに剣心 最終章 The Final』の舞台挨拶に大友啓史監督が登壇。コロナ禍において公開延期を乗り越えてお披露目となった本作だが、延期となっている期間には、時代の変化を感じ取り、劇中の“音”を変えたことを明らかにした。
和月伸宏の漫画を実写映画化し、激動の幕末で“人斬り抜刀斎”として恐れられながら、新時代において、斬れない刀“逆刃刀”を手に大切な人々を守ろうとする男、緋村剣心(佐藤健)の戦いを描く本シリーズ。本作では、剣心の十字傷の謎を知る男・雪代縁(新田真剣佑)が現れ、彼らが因縁の決着をつけるべく激闘を繰り広げる姿をつづる。司会はジャガモンドの斉藤が務めた。
大友監督が、会場からの質問に答えたこの日。「コロナ禍で延期になっている間に編集をしなおしたことは?」と聞かれると、大友監督は「音の入れ方」と告白。「もっとイケイケの音作りをしていた。2020年の夏公開予定で、オリンピックに勝つつもりで作っていた。日本国民の目はオリンピックに向かうから、アスリートの本物の競技に対して、フィクションの俺たちがどうやって戦えるのかという時に、大人の本気を見せてやるぞというノリで作っていた。オリンピックがライバルだった」と振り返りつつ、「ところがそれがガラッと違うムードのなかで公開になった」とコロナ禍でいろいろと思いを巡らせたという。
大友監督は「僕も含めて、お客さんには違うものが必要なんじゃないかという気分だった」とコメント。「音のレベルを変えたり、打撃技の強い“ゴツン”という音ももう少し柔らかくしたり、セリフの音も全体的に下げたり、音を少し抜いたりという細々とした作業をした」と変化を加えたそうで、「以前のものを『イケイケだ!』と喜んでいた人が、新しいほうの試写をやった時に、『しっかりとラブストーリーになっている』と言っていた。いい反応をしてくれた。『The Beginning』につながる、剣心、縁、巴との三角形、そこに薫を交えたラインがもう少し際立つようなことができた」と話していた。
また新田真剣佑のアクションの感想を尋ねられると、大友監督は「最初に会った時にまっすぐ俺の目を見て“なんでもやります”という感じだった。当時は21歳くらい。なんでもできるというムードだった。(アクション監督の)谷垣(健治)虎の穴道場に入れたら、みんなびっくりしていた。蹴りとかすべての動きがすでにオッケーだった」と新田のアクション力に感心しきり。「お父様が千葉真一さんだし、小さな頃から武道の練習もされていたと思う。空手できるし、ジャンプ力もすごい。あとは縁としてのアクションをどう入れていくか。そこにこだわった」とアクションチームを交え奮闘していったという。
さらに大友監督は「できなかったことはほとんどない。できないことがあった時はちくしょう!と本気で悔しがっていた」と現場での新田の様子を述懐。上着を脱いだ時の縁の筋肉も印象的だが、「裏でもトレーニングしてパンプアップをしていた。脱いだ時の二の腕のインパクトが欲しいから。とても自己演出に長けている。自己演出も最後の瞬間まで忘れないというところに驚いた」と新田の才能を称えていた。
取材・文/成田おり枝
■開催期間 2021年12月4日~2021年12月19日(日)
■開催会場 Hall Mixa(Mixalive TOKYO地下2階)
■会場席数 144席
■販売価格 全作品700円(税込)/全席自由席
■販売場所
【インターネット】ローチケWEB https://l-tike.com/comeback-movie-festival
【コンビニ】ローソン・ミニストップ店舗内のLoppi
【当日券】各回20 枚限定/各公演開場時刻より、会場Hall Mixa 受付にて販売
※当日券は諸般の事情により販売しない場合がございます。ご了承ください。
※未就学児のお客様はご入場できません。ご了承ください。
【公式サイト】https://comeback-movie-festival.jp