ウェス・アンダーソン監督最新作『フレンチ・ディスパッチ』特別映像解禁!撮影現場は「まるでファミリー!」
ウェス・アンダーソン監督の記念すべき長編第10作目となる『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(以下、『フレンチ・ディスパッチ』)がいよいよ本日より公開。ついに迎えた初日を祝し、本作より特別映像が解禁となった。
本作の舞台は20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍し、国際問題からアート、ファッションから美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。ところが、編集長が仕事中に急死し、遺言によって廃刊が決定。果たして、何が飛び出すか分からない追悼号にして最終号の、思いがけないほどおかしく、泣ける、その全貌とはーー。
一度参加するとやめられなくなるというアンダーソン監督の現場。キャストを病みつきにさせるアンダーソン監督の魅力は、独特の作風やセンスだけではないことが、解禁された映像から伝わってくる。オーウェン・ウィルソンが「関係者全員が寝食を共にする」、ティモシー・シャラメが「一番の楽しみは夕食」と語るように、キャストとスタッフが同じホテルに宿泊し、食卓まで一緒に囲むという、ウェス・アンダーソン作品ならではのファミリーのような独特の現場エピソードが明かされていく。
何度も交わされるキャスト、監督、スタッフ陣のハグや、エキストラも交えた笑いの絶えない賑やかな雰囲気、アンダーソン監督にちょっかいをかけてふざけるスタッフと、部署や立場の垣根を超えた信頼関係のなかで大いに撮影を楽しんでいる。アンダーソン監督と長年タッグを組んできた撮影のロバート・イエーマンは「あれほど才能に溢れる家族の一員になれて光栄だよ」とコメントし、ボブ・バラバンは「10作目でもウェスの冒険心は尽きない。いるだけで楽しくて朝4時でも帰りたくない」と語っていることからも、“ウェス・アンダーソンの魅力”が伝わってくる。
一方、ウェスは自身の追い求める映像についても妥協は一切無し。撮りたい画のためなら何度もテイクを重ねるこだわりを持つ。ティモシーは「4秒くらいの場面がありました。壁に紙をピンで留めて、ジュークボックスの方に歩くシーンです。45回、撮り直しました。この時の監督のこだわる姿には心が動きました。その時は、自分には無作為な指示に思えたことが、実は監督にとっては考え抜かれた演出だったのです。もし一般論が芸術の敵なら、アンダーソン監督の姿勢は、表彰に値するほどです」と圧倒された様子で称賛している。
45回ものリテイクが賑やかに成り立つ撮影現場も、普段からのファミリーのような信頼関係があってこそ。監督、キャスト、スタッフたちの最高のチームワークで贈る最新作は、映画館の大きなスクリーンで体感したい。
文/タナカシノブ